野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

自分も生まれる旅+ノムラノピアノ

「自分も生まれる旅+ノムラノピアノ」でした。

今日は、Charles Ivezの"The Alcotts"を弾いてみました。「自分も生まれる旅」というテーマで、この20世紀のアメリカの作曲家のピアノ曲を演奏できると思えたからです。ピアノの演奏の専門家はたくさんいるので、自分でピアノを公開で弾く場合は、自分で作曲した曲か即興演奏に限って行っておりました。しかし、最近、日本センチュリー交響楽団演奏家の方々が、自身の専門のクラシック音楽だけでなく即興演奏やワークショップなど、様々なことにチャレンジしておられるのに感銘を受けまして、彼らがクラシック以外の音楽に挑戦しているのだから、逆に、ぼくも、クラシックも弾いてみるくらいの柔軟性を持ってみようと意識するようになりました。専門ではないけれども、自分自身の芸風の幅を広げようと思うわけです。で、アイヴズを「自分も生まれる旅」というテーマで弾いてみることにしたわけです。

砂連尾理さんがゲストでのダンス。「生まれる」というテーマで、何度もダンスを踊ってきた砂連尾さん。そのことを知らずに彼を急にゲストに招いた有砂山さん、直感の人なんだな。その直感の予感の想像の先に、どんなダンスがあるのだろう。砂連尾さんが舞い、空間がゆらぎ、ぼくのピアノの音楽がそれと交わり合い、ふと、間をあけたくなった瞬間、母と息子があまりにも自然に砂連尾さんと踊り出した。このダンスが見られて、来てよかったなぁ、と思う。

有砂山さんのスライドと野村のピアノ。助産院のまりこさんの言葉「手放す」がスライドに現れて、ぼくも自分のピアノを手放し、自分の美意識を手放し、自分を手放し、としたい、という気持ちになりました。だから、自分でどんな音楽になるのか分からない状態で、指に身体にまかせてピアノを弾いてみました。なかなか手放すことも難しいのですが、でも、手放す気持ちでピアノを弾くのは、とても良い体験でした。生まれること、産むこと、手放すこと、執着すること。それらが、グルグルしながら、特別な時間を過ごせたこと。また、昨年とは違う時間が過ごせたこと。貴重な時間でした。有砂山さん、貴重な機会をありがとうございました。