野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

97歳のお母さんのための演奏会

ロンドンに戻って参りました。

朝食の後、エンリコさんと鹿倉さんが、近所の博物館に散歩に連れ出してくれました。楽器博物館など。楽しむ。

午後、ロイヤルオペラハウスに行く。オペラ歌手のロブ・ギルドンと会い彼のステージを見る予定だったが、ロブが1週間勘違いしていたことが発覚し、行ってみるもののオペラの公演はもう終わりかけだったし、ロブはいないし、ロブはロンドンではない所に住んでいるので、会えず、謝られるのみ。

そこで、急遽、明日から香港に飛ぶ予定で、今、ロンドンに来ているピート・モーザーに連絡し、彼の実家を訪ねる。ピートは12年前に日本にも招聘したことがある。ワンマンバンドで、作曲家で、コミュニティミュージシャンで、トランぺッターで、歌をいつも作っていて、アコーディオンを演奏し、様々な企画を考える男。海辺で凧揚げ音楽祭を企画し、ピアノを燃やし、モアカムという小さな町で暮らしている。最近は、香港のコミュニティミュージックに多大な影響を及ぼし、毎年にように通っている。97歳のお母さんが健在して、色々、お話をさせていただく。ピートからは、香港の友人を数多く紹介してもらった。彼は、来週には、ぼくの紹介で、i-dArtのベリーニと会うらしい。こうして、友達の輪が広がるのは嬉しい。

ピートのお父さんは数年前に亡くなられたそうだが、ピアノが好きだったらしく、即興はしなかったが、モーツァルトを好んで演奏したとのこと。そして、97歳のお母さんのために、ピートとモーツァルトドンジョバンニ魔笛フィガロの結婚などのピアノ連弾アレンジ譜を、初見で次々に演奏する。ピートは、お父さんとよくモーツァルトを連弾したそうだ。ぼくらが普段の仕事で演奏する音楽は、クラシックではないが、こうして、97歳のお母さんにモーツァルトを聞いていただき、嬉しい一時。シューベルトも演奏した。モーツァルトにも、シューベルトにも弾くと色々な発見があり、新鮮。97歳のお母さんは、毎朝レモン水を飲み、夜にウイスキーを飲むのが日課らしい。

その後、ピートの奥さんのカトリンとその友人たちと会う。みな、久しぶりに会う人々だが、すごく覚えてくれていて、嬉しい。今から9年前に、門限ズで凧揚げフェスに参加したことが、未だに語りぐさになっているようで、また凧揚げフェスに来て欲しい、と言われる。社交辞令も含まれているとしても、嬉しい。