野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

香港の今後の打ち合わせ

香港に来て、今日で20日。91日滞在なので、今日を含めて、残り72日。朝、味噌汁を食べて後、この長いプラスティック製の箸が、ドラムスティックとして手頃な軽さで壊れにくい、日用品を叩くのに丁度いい、と思い、タッパー、ペットボトル、ゴミ箱、皿などを叩いておりました。この巨大な福祉施設にある多くの物が、耐久性などの理由で、味気ないプラスティックの物ばかり。プラスティック・ドラムセットは、割れることを気にしなくていいメリットもあり、力加減を覚えていく上でも、良さそう。

その後、興味がプラスティックからアルミホイルにうつり、アルミホイルをベッドやソファの上において、箸で叩くのをやったり、部屋にぶらさげてみたり。現在、我が部屋はアルミホイルのサウンドインスタレーションになっております。

i-dArtのオフィスに行くと、台湾に出かけていたベリーニが戻って来ている。「お帰り、ベリーニ!」5日ぶりに再会。お土産ありがとう!イェンは、日本語会話集を本屋で購入したようで、嬉しそうに見せてくる。

そのまま、美術スタジオに行って、絵を描いている皆さんに挨拶の後、このスタジオにどのような素材があるか、音の素材として、活用できそうなものを探す。

i-dArtのスタッフとの恒例のランチタイム。イェンは日本語会話集を持って参加。ぼくが広東語を覚えていくにつられて、みんなも日本語を勉強してくれるのが、嬉しい。

Fさんとのセッション。車椅子で、手が麻痺しているFさんは、前回、鍵ハモでの演奏も、非常に繊細で良かったのだが、楽器を演奏することよりも、曲を作ってみる方がいいのではないか、と思い、今日は、歌をつくることを提案。Fさんに、音名を順番に言ってもらい、メロディーをつくっていく。メロディーができたら、それに合う歌詞をつくる。できあがった曲を、Fさんも一緒に口ずさんでくれて、嬉しそうだった。譜面を浄書して、プレゼント。

その後、ベリーニとメーリンと、今後のことについて2時間に渡って話し合った。来週から、知的障がいの施設でのグループセッション、高齢者との合唱団の結成、自閉症の人のグループセッション、隠れた才能を探しにいくプロジェクト、個人セッション、日本語交流タイム、などを週1(または週2、3回)で展開し、プールでの音楽セッション、施設の外に出て行くプログラム、コンサートなども計画。また、施設スタッフや外部の人に向けての即興演奏の講座の開催などをしていくことに。

話し合い終了後、もう陶芸のクラスが終わる時間だけれども、ちょっとだけ様子を見に行く。というのも、楽器を作っていてくれるからだ。筒状の楽器も、ツボ状の楽器も着実に作られていて、これが焼かれた後、どんな音がするか楽しみ。一人の人が帰り際に「明日ダンスで会おうね」と広東語で言ってくれるが、意味が分からず、訳してもらい了解する。どう考えても、ぼくの方が、障がい者だ。ケアしてくれる人がいて、助かる。訳してくれたトビーに、今日の日本語レッスン。「トイレはどこですか?」を教える。