野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

路上演奏する音楽療法士

香港で、JCRCという巨大な福祉施設にて、3ヶ月のレジデンスも、間もなく3週間になろうとしております。今日は、メイデイで祝日。

本日は、臨床心理士でコミュニティ音楽を実践するAndrew Liuと会うことに。香港理工大学の近くの飲茶のお店で待ち合わせ。アンドリューは、香港善導會(The Society of Rehabilitation and Crime Prevention, Hong Kong)に所属。臨床心理士だが、10年近く前にPete Moserの歌づくりワークショップに参加して以来、コミュニティ音楽の実践を続けている。今回は、Pete Moserの紹介で会った。今は、精神疾患のグループの音楽セッション、女性グループの音楽セッションを実践しているらしい。

アンドリューが、是非、紹介したいと言って、連れて来たのが、音楽療法士のEsther Wong。エスタは、イギリスのケンブリッジ音楽療法の勉強をした
。しかし、話をしているうちに、彼女が音楽療法士という枠に収まりきらないハイパー音楽療法士であることが分かってきた。作曲を専攻して後、音楽療法を学んだので、映像や舞台の音楽も出がけた経験がある。音楽療法セッションで、複数のmidiキーボードで共同作曲はするし、路上演奏が大好きで、スーツケース一杯の楽器を持って路上に行き、観客も参加できる路上演奏をする。音楽療法という(クライアントのプライバシーを守る)閉ざされた空間でのセッションと同時に、不特定多数と出会う路上演奏を行うところが、非常にユニークだと思う。

野村誠片岡祐介著「即興演奏ってどうやるの」(あおぞら音楽社)を見せると、当然ながら「これは英訳して出版した方がいい」と言われる。ここに来て、二度目。きっと、今後も何度も言われるのだろう。誰か、英訳して出版してくれたら助かるんだけどなぁ。片岡祐介氏がやってくれないかなぁ。

ホエールトーン・オペラ」の話など、いろいろ会話は弾み続ける。

ということで、今週、日程を合わせて、3人で路上演奏をすることになった。意外な展開。二人と話して思うことは、非常にオープンで、色々なことの理解がすごく早いので、話がどんどん展開し、話すだけでも楽しい。きっと、音楽をしたら、また違った部分が見えてくるのだろう。今後の交流も楽しみだ。

エスタは用事があるので帰り、アンドリューが海辺を案内してくれる。九龍の海辺から見る香港島の眺め。海と高層ビルと山。不思議な光景。香港文化センターも行ってみて、フライヤーなどをチェック。広東オペラのチラシなども興味深い。台湾から最近進出して来た書店に入る。あまりにも多くの日本語の本が訳されているのに、驚く。要するに、台湾で日本の本が多数訳されていて、それを香港の人が中国語で読む、ということ。台湾と香港は、漢字が共通なので、台湾で訳された本は、そのまま香港で読める。書店の中に、生活雑貨などのコーナーも混在していて、かなりお洒落な雰囲気。長時間いられる場所。

アンドリューと別れ、せっかくなので、フェリーで海を渡り、海の上から、香港島九龍半島を眺め、地下鉄に乗り換え、家に戻る。

夜は、洗濯したり、メールしたりして過ごす。