野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

ぼくに触発されてブログを始めたエスター

香港での22回目の朝。昨夜、雨が降ったので、気温が少し下がって、今日は暑さがましそう。朝、i-dArtのオフィスで、ベリーニと打ち合わせ。来週から始まる様々なセッションシリーズの時間割をつくっていく。

時間割の案を作りながら、ベリーニがその場で次々に色んなセンターに電話を入れて行く。この色々なセンターというのが、この同じ敷地内に20以上ある施設。それぞれの施設に、施設長がいて、それぞれの施設でプログラムがあり、それぞれの施設で楽器を持っていて、それが集まって、このリハビリテーション集合体になる。だから、ベリーニが、それぞれの施設長に連絡をいれて、アポをとった上で、次々に施設を訪ねて行き、プログラムを確定させていくのが、今日の仕事。

今日、最初に訪ねたのが、海側の棟の5階。ここに、ピアノを不思議なタッチで弾く男の子がいて、彼との個人セッション(? “Interlude for Piano and Sofa”)を週に一度することに。また、ここの利用者30人ほどの集団セッションをすること(? “Kantonese Jazz Big Band”)も決まる。海の棟の6階を訪ねる。ここでは、あまり活発ではない(反応の乏しいと言われる)方々5名ほどとの集団セッションを週2回(? “Adagio for Quiet Quintet”)、30人ほどの集団セッション(? “Daily Noise Orchestra”)を週1回行うことに。さらに、海側の7、8階の施設では、非常にリズムに反応する人、太鼓が好きな人、常時、日用品を耳元にもっていきカチカチしている人などの8名とのセッションを週2回(? “Drum Carnival”)することに。

また、電車の駅名に興味のあるKさんとの個人セッション「駅名音楽の集い」(?“MTR Remix”)を週2回。Fさんと「歌づくりの集い」(? “Happy Handsome Rock’n Roll”)を週2回。駅側の棟の4階の方々4名との「車椅子四重奏」(?“Wheelchair Quartet”)を週2回、山側の棟の1階から6階までの住人の中で募っての「日本語と歌の集い」(? “Japan Cantata” )を2週に1回、開催することに。さらに、海側の棟の1階の方との30人ほどの集団セッションは、15人ずつ×2に分けて(? “Sonatina for Sumo Hearing”)、週1回開催。あとは、既存のダンスグループに週1回、美術コースに週一回、音楽コースに週1回加わってのコラボ、というスケジュールになりました。

これを全部、時間が重ならないように時間割を構成し、調整する作業を、ベリーニと二人でやって、できあがり。ああ、来週が楽しみ。来週のセッションの準備のために、i-dArt所蔵の楽器を確認したり、高齢者の歌の時間を見学したりもしました。メーリンがどうしても見せたいと屋上庭園にも行きました。

ということで、一日がかりでプログラムを確定させて、今日の路上演奏の待ち合わせ場所に行く。音楽療法士エスターと臨床心理士のアンドリュー。エスターはスーツケース一杯の楽器を持って登場。そのまま路上セッションが始まり、前半は3人でのセッションを目一杯楽しみ、途中からは香港の通行人の方々に向けて、エールを送るつもりで、全身で激しく動きながら演奏。2時間ぶっ通しで演奏。いい運動になり、香港ドルで70ドルほどが集まり、そのお金で3人でお茶を飲みにフードコートへ。

ぼくが「路上日記」の話をしたこともあって、エスターが新しい(路上演奏に関する)ブログを始めました。今、このブログで、短いレポートしかしていない今夜の出来事が、すごく面白く詳しく、しかも分析的な文章で綴られています。是非、読んでみて下さい。

https://estherywwong.wordpress.com/