野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

「越後獅子コンチェルト」全曲を通した

本日は、午前中、鍼灸に行き体調を整えてもらう。年末年始とよく休めたので、体調は良好。

そして、本年の初仕事。大阪音楽大学に向かい、「世界のしょうない音楽ワークショップ」の今年度5回目。「越後獅子コンチェルト」のリハーサルを行いました。

日本センチュリー交響楽団の楽団員5名、大阪音大の先生方を含めた20名ほどのプロの音楽家に、50名のワークショップ参加者が加わる70名の大アンサンブル。ワークショップの参加者の多くが、箏、三味線、シタール、ヴァイオリン、ヴィオラ・ダ・ガンバなど初めて触る楽器にチャレンジする企画であります。

昨年度も同様の企画をしましたが、昨年度は西洋オーケストラ的に、全パートにパート譜をつくり、パート譜に従って練習していきました。たった6回のワークショップで本番を迎えることを思うと、こうした効率重視のアプローチは、必須とも言えるものです。

しかし、昨年度の演奏が素晴らしかったものの、参加者の方々は譜面に目が釘付けであり表情もかたい、とのコメントもありました。それで、今年度は、ワークショップ参加者の方々には、パート譜なしで、全て、体で覚えられる内容にしようと考えました。プロの音楽家が演奏するパートは譜面に書かれスコアに書かれていて、ワークショップの参加者のパートは、耳で体で覚える、というアプローチにしました。

これは、旅行に行くのに、地図を見ながら旅することで、地図で現在地の確認をすることに専念し過ぎて、絶好の風景を見逃してしまうといったこと。地図を持たずに、案内人のガイドに従って、とにかく現地の風景や空気を存分に楽しむ、といったことに似ています。

ということで、本当は倍くらいのワークショップの時間があったら、もっとじっくりと練習できるのですが、限られた時間なので、本当に駆け抜けるように、ワークショップを進行させていただきました。本当は、もっともっと、のんびりと進めたいし、丁寧に進めたいし、皆さんの良さをもっともっと活かしたいし、と色々な気持ちが湧き出てくるのですが、少しでもそんなことを思うと、今日、最後に通すことができないので、心を鬼にして、時間厳守で、予定した時間割で練習を進めていきました。そして、最後には、30分の「越後獅子コンチェルト」全4楽章を、通すことができました。皆さん、本当にありがとう。素晴らしい演奏になってきていますよ。

次回は本番の前日の1月11日。ここで、音楽をさらに練り上げていきたいと思っています。

本番は、1月12日、豊中市立文化芸術センター大ホールです。