野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

ヴィブラフォンは化粧まわしだ!

2月15日にフェニックスホールでヴィブラフォンで9人の作曲家の9曲を演奏してしまう會田瑞樹くんの稽古場に行く。ヴィブラフォンだけの演奏会というのが、超レアなのだが、9人の全く違う個性の作曲家の曲を演奏するというのも、またまた超レアだ。ぼくも、このコンサートのために新曲委嘱をされて、「相撲ノオト」を昨年11月に書き下ろした。これが本当に面白い曲なのだが、演奏するのは超大変な難曲。特に、横綱土俵入りの動きをしながら演奏するなど、パフォーマンスの要素も多いのだが、と同時に、音符も楽譜通りに弾かなければいけない。四股も踏まなければいけないのに、同時にペダルも踏まなければいけない。そこに、佐久間新さんが友情コーチに駆けつけてくれた。そして、驚いた。ヴィブラフォンが化粧回しに見えるのだ。そして、佐久間さんから次々に有益なアドバイスをいただくと、會田くんの身体はどんどん柔軟になり、演奏は相撲になり、相撲は音楽になっていった。パフォーマンスではなく、儀式になっていった。會田くんは、「勉強になります」と何度も言っては、やったことのないことに臆せずにチャレンジする。あれだけ現代音楽の初演を次々にやっていれば、だんだん現代音楽のクリシェにはまってしまったりしそうなものだが、會田くんに限ってそんなことはない。常に新しい物事に貪欲で、それを少しずつ時間をかけて血肉にしていく。15日の世界初演が本当に楽しみだ。

 

「世界のしょうない」に向けて作曲しなければいけないので、今日は、筑前琵琶の川村旭芳さんの「祇園精舎」の動画を聞きながら、譜面に起こす作業をやったりした。