野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

武智さん、アンドリュー&シマさん

朝、エンリコと別れて、作曲家の武智由香さんと会う。高橋悠治さん、故高田和子さんの呼びかけでの邦楽バンド「糸」で、悠治さんが選んだ4人の若手作曲家(大友良英、武智由香、新垣隆野村誠)の新曲をやったのが18年前。あれ以来の再会。武智さんはあれ以来、数多く日本の楽器のためにも作曲しているそうで、山田流箏曲のための作品もあるとのこと。気がつくと2時間以上、話し込んでしまいました。こうして現代音楽の作曲を続けている人の存在は、本当に嬉しいし励みになります。また会えて良かったです。感謝。

その後、ロンドンの北西の郊外、メトロポリタンラインの終点のアマシャムへ。作曲家のアンドリュー・メルヴィンが迎えに来てくれる。会うのは、2012年にロンドンで会って以来5年ぶり。ハーモニカ奏者の小林史真・メルヴィンさんに会うのは8年ぶり。息子のアシュリー(9歳)は、8年前とは別人で、庭でトランポリンで跳ねながら、壁の向こうの隣人の子どもと会話する。そしてアンドリューとシマさんのお宅は、お庭に音楽スタジオがあり、ピアノが置いてある。「夢が叶ったんだよ」とアンドリュー。今では、自宅の庭にあるスタジオで、ピアノのレッスンをしたりしているらしい。天気があまりにもいいので、散歩に出かけることに。車で少し行ったところで、ウマのいる牧場の脇を歩き、羊たちのいる中を歩き(しかし、羊は臆病なので、道をあけてくれる)、ブタや鶏のいる牧場を通り、楽しく長閑なお散歩。こんな村で毎年現代音楽祭をやっているそうで、会場となる古い教会に行く。「ここでぼくの20人くらいのオーケストラ作品をやったこともある」とアンドリュー。作曲家のジョン・タヴァナーがこの教会が好きで、よく新作初演があった、とのこと。ジョン・タヴァナーも2年ほど前に他界したそうだ。イギリスの個性的な作曲家の一人だった。家に帰り、アンドリューがジョン・タヴァナーのピアノ曲を出してくれるので、弾いてみる。アシュリー君のチェロのお稽古のピアノ伴奏も担当。アシュリー君は、数学好きで、素数の言い合いっこをしたり、かけ算をして遊ぶ。シマさんが「マコトさんに将棋を教わろうよ」と言って、将棋盤を出してきて、将棋のルールを説明して、さっそく実践。楽しい娯楽の時間。

アンドリューとシマさんは、アシュリー君の学校の保護者つながりで、ヴィオリニスト、チェリストとつながって、ハーモニカ、ピアノ、ヴァイオリン、チェロの四重奏を開始。アンドリューの作曲した新曲を聴かせてもらったし、ピアソラの演奏も楽しい。また、アンドリューはティーンエイジャーと即興のグループを始めていて、「グループ名は?」と聞くと、「Creatives、名前がなかったらいつの間にかみんながそう呼ぶようになった」とのこと。そして、アンドリューが最近関わった小学生の合唱団1000人の大プロジェクトEchoesのパンフレットを見せてもらい、2年前のEchoesでのJohn Webbという作曲家の1000人での演奏のDVDを見せてもらう。