野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

Back to London

アンドリューとシマさんのお宅に宿泊。8年ぶりのアマシャムは、本当に懐かしい。アシュリー君がどうしてもマコトに見せたいというテレビ番組「robot wars」を見せてもらう。そして、丘の上に散歩に行き、見事な眺めを楽しみ、フリスビーをしてくつろぐ。本当に良い天気に恵まれる。パブで昼食。アシュリーがマコトに将棋を教わりたいというので、指導対局。楽しい家族の休日をご一緒できて嬉しい。

メルヴィン家の皆さんと別れて、ロンドンの町中に戻り、キュレーターのスチュアート・タロックと8年ぶりに会う。2001年にロンドンのヘイワードギャラリーで、「しょうぎ作曲」などをした時に、アシスタント・キュレーターとしてサポートしてくれた人。その後、2004年に、ブラックプールに呼んでくれて、そのワークショップの中でゴヤの絵を音楽にした。それが、後の徳島県立近代美術館や館林美術館でのワークショップ、さらにはポストワークショップとしてのピアノ曲集「福岡市美術館」や「静岡県立美術館」、「アーツ前橋」につながった。また、初めて動物園で演奏したのも、スチュアートのアレンジしたブラックプール動物園で、それが後の「ズーラシアの音楽」(2005)につながった。スチュアートは、今ではエセックスのアートギャラリーで働いているらしい。

スチュアートと別れて、作曲家のマイケル・パーソンズの家へ。彼の合唱曲の音源をCDに焼いてくれると同時に、丁寧に手作りでCDのリーフレットを作ってくれる。音源を聞きながら、色々と語り合う。高橋悠治さんとマイケルは、同じ年だ。「名前は知っている」とマイケルは言う。二人が会ったこともないのが、本当に不思議だ。悠治さんはイギリスにはあまり縁がなかったのだろう。マイケルから託された譜面を日本に持ち帰り、日本のピアニストにも紹介したい。マイケルはピアノで実演してくれる。78歳になっても、自由の精神は全くかげりを見せない。マイケル宅に泊まる。4週間のイギリス滞在の最後の夜だ。