野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

ピアノの本音第3回

8月6日です。地下鉄の車内で、「今日、何の日か知ってる?」と若者の会話。「知らん」と別の若者。「広島に原爆落ちた日やで」。「俺、広島市民違うし」。という会話が聞こえてきて、本当に残念な気持ちになりました。ぼくが子どもの頃は、実際に戦争を体験した大人がいっぱいいたので、色々な言葉が切実に響いていたのですが、原爆投下から71年。

そんな会話を耳にしながら、JRに乗り換えて、滋賀県の守山へ。駅から会場のスティマーザールは徒歩5分ですが、この5分でも汗が吹き出る。こんな暑い日にご来場いただくお客様には、本当に感謝です。ピアノの未来を切り開いていこうとする調律師の上野泰永さんとの「ピアノの本音」第3回@スティマーザールです。

160年前のショパンが愛したピアノと同型のプレイエルというピアノを演奏し、後半はベーゼンドルファーのインペリアルという現代のピアノを演奏。プレイエルは、本当に弾き慣れないので、楽器に自分を馴染ませるだけで大変でしたし、あまり強く弾くと楽器が壊れるかもしれないので、おそるおそるですが、おそるおそるし過ぎても楽器が鳴らないので、本当にギリギリの加減を探しながら、演奏していくのですが、得難い体験をさせていただきました。お客さんの方々にも、プレイエルの多彩な音色を楽しんでいただけたのでは、と思います。後半で、現代のピアノを弾く時に、プレイエルを弾いた感触を持って弾くことで、また今までとも違った音色が出せたような手応えもありました。何事も色々、チャレンジしてみるものです。今後とも精進していきたいと思います。東京、埼玉、静岡など、遠方からもご来場いただき、本当に感謝です。

続編は、今のところ予定はありませんが、いつか、機が熟した時、また実現させたい、と思っております。