野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

プレイエルを弾き込む

スティマーザールに行って、8月6日の「ピアノの本音」第3回に向けて、ピアノの練習と打ち合わせ。プレイエルという160年前の骨董品のようなピアノがあり、これは、もちろん160年経っているので、弱っているところは弱っていて、しかし、部品によっては消耗品的な部分もあり得るが、当時の部品はもう手に入らないし、物によっては同じ素材も手に入らないので、できるだけ楽器に負担をかけないようにいたわりながら演奏する。それでもって、楽器の音色の魅力を最大限に引き出す、という無理難題に取り組んでおります。

ということで、本日は、プレイエルで練習の後、ベーゼンドルファーのインペリアルで練習し、その間に調律師の上野泰永さんがプレイエルを調整し、その後、またプレイエルを練習しました。

160年前の楽器は、博物館入りするだけだと、誰にも触ってもらえず、楽器として音を発することができません。こうして、演奏の舞台に出してくることで、現代に生き続けることができます。しかも、160年前の楽器で、160年前の音楽を演奏するだけではなく、160年前の楽器で、現在の野村が即興演奏をしたり、野村の曲を演奏することで、160年前とは違った楽器の魅力、可能性を見いだすことが、今回の大きなテーマです。そのことによって、現代ピアノの可能性も色々と浮かび上がってくるはずです。

それにしても、プレイエルを弾き込んでくることで、だんだん楽器が鳴り始めました。それは、楽器が蘇ってきたのか、それとも、ぼくの身体が楽器に馴染んできたのか。

明日は自宅のピアノで練習します。

ピアノの本音 第3回 160年前の楽器(プレイエル)の音色
8月6日(土)
14:30開演(14:00開場)
@スティマーザール(滋賀県守山市
http://www.stimmersaal.com/
前売 2000円 当日2500円
出演:野村誠(ピアノ、トーク)、上野泰永(調律、トーク
チラシは、
http://www.moriyama-cci.or.jp/busi…/press2016/image/0407.pdf

博物館にあってもなかなか触らせてもらえない19世紀のプレイエルというピアノを弾く第1部。現代のベーゼンドルファーのインペリアルというピアノを弾く第2部。調律師の上野泰永さんと、ピアノをめぐるディープなお話もあります。

こちらの動画は、シリーズ第1回の映像(by上田謙太郎)