野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

鈴木潤さん

朝、6月10日の京都での「ケンハモナイト」のチラシが届く。

午後、鈴木潤さんと、鍵ハモデュオのリハーサル。「お酢と納豆」の鍵ハモデュオ版を練習。これは、6月10日のケンハモナイトで演奏する予定。そして、明日の「プンドポの夕べ」でやる鍵ハモデュオも練習。鈴木潤さんとは、1987年、ぼくが大学に入学した年に出会った。京都芸大の学園祭で、高橋悠治さんのピアノコンサートがあるので、観に行った。その時の観客の中で、何となく気になる人物が潤さんだった。続いて、当時京都芸大教授だった広瀬量平さんプロデュースの京都の若い作曲家のコンサートに行ったら、やっぱり客席に潤さんがいた。きっと京都芸大の作曲の学生だと思ったが、京大の先輩だった。その後、大学で2台ピアノで即興をし、即興オペラをし、初の共同作曲とも言える「はないちもんめ」を創作した潤さんは、卒業して、埼玉に帰って行った。

それから5年ほどして、ぼくは東京に住むようになり、一緒に鍵ハモで路上演奏をし、鍵盤ハーモニカ・オーケストラ「P−ブロッ」を結成し、それから15年間、潤さんとは、クラシック、現代音楽、歌謡曲、ポップス、レゲエ、民謡、をはじめとするありとあらゆる音楽を共演してきた。

そして、潤さんは震災をきっかけに京都に移住して、3年前には、「鍵ハモトリオ」コンサートをしたが、その後、あまり共演の機会もなく、昨年は同じ京都にいたにも関わらず、一度しか会う機会がなかった。

今日のリハーサルで二人で演奏した時、二人で演奏する音は二人が30年間の間に何百回と共演してきた様々な経験がとけ込んでいることだった。二人で演奏しているのに、そこには、その中で出会った様々な人々との体験が生きている。二人で演奏しているのに、たくさんの仲間を連れているような音楽だった。

明日の共演が楽しみだ。