野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

淡路島の今年度の計画会議

本日は、スカイプにて、淡路島アートセンターの方々とミーティング。今年度の「瓦の音楽」の方向性など。国際交流企画では、インドネシアとの交流事業。9ー10月にインドネシアより作曲家を招聘し、淡路島でワークショップを行ったり、瓦とガムランなどでの可能性を探り、冬には、日本からインドネシアへ行く予定です。また、地元の人々とのコミュニティ楽団「かわらばんど」での活動も展開していこう、ということで、合意。

これを受けて、国内外の協力要請のための連絡などをしました。その後は、明日のコンサートの宣伝のために宣伝文を書きました。

明日、京都にて(東京では31日)、大田智美さん、富田珠里さん、菊地奈緒子さんの演奏会です。10年前に、大田さんがドイツで初演して以来、何十回と演奏してきていただいた「ウマとの音楽」も演奏されます。久しぶりに聴けるのは嬉しいです。そして、「ウマとの音楽」が、大田智美さん、富田珠里さんのお二人が、CROSS Airというコンサートシリーズを始めるきっかけになったこと、そして、それを10年の月日を経て、演奏し続けていただけることを、作曲者として、本当に喜びに思います。

それから、八橋検校没後330年、バッハ生誕330年の今年に、3人と八橋検校に捧げて書いた新作「六段→交段→空段→穴段の調」が初演になります。ドキドキです。ぼくの耳に「六段」はこう聞こえる、という作品であり、330年前に八橋とバッハがコラボレーションしたことを想像しながら、作曲しました。

そして、今回は3人の若い世代の作曲家の作品が聞けるのも、大変貴重な機会で興味深いです。現在、ジャワ留学中の小出稚子さん(1982−)の新曲「千鳥の舞」(アコーディオン+ピアノ)、稲森安太己さん(1978−)の「ひきかた」(箏)、渡辺裕紀子さん(1983−)の「とある日の会話」(箏+ピアノ)の3曲。

「千鳥の舞」とは、タイトルからしても興味深いです。ジャワ留学中の作曲家がアコーディオンとピアノにどんな「千鳥」を書いたのか楽しみです。箏には様々な発音の方法がありますが「ひきかた」と言うのですから、きっと箏の音色を存分に楽しめるのではないか、とドキドキします。ピアノと箏は、ともに弦楽器で、この二つのアンサンブルとしての「とある日の会話」も、それぞれの楽器の特色がはっきりして面白いに違いないでしょう。

アコーディオンの持続する音色とピアノの弦を叩く音色、そして、箏の弦をはじく音色、そうした音色の違い/楽器の違いも、きっと楽しめるのではないか、と思います。

カーゲルの「肉体化されし爪」という曲は、勉強不足でどんな作品か知りませんが、爪と入っているのに、箏ではなく、ピアノとアコーディオンの曲。きっと、カーゲルなので、劇的な作品なのでしょう。楽しみです。

さらには、クラシックの曲としては、フランクとプーランクの曲が演奏されます。フランクは、「前奏曲」と、「フーガと変奏」の2曲。変奏と言えば、八橋検校の「六段の調」も変奏曲であり、「七段」以降の余分な変奏を書き足したてしまいました。

この3人は、とても音色が良く、ぼくの音楽を、いつも作曲者が思っているよりも大きく膨らませてくれるので、今日も本当に楽しみで、しかも、3人が一緒に演奏する場面に、初めて遭遇するので、本当に楽しみです。菊地さんは、日本におられる時、毎年のように野村作品を演奏していただいていましたし、彼女の解釈は、野村の貧弱な譜面を大きく膨らませた豊かな音楽だったのですが、ドイツに移住されて以降は、なかなか菊地さんの演奏を聴く機会がなかったので、再会を本当に楽しみにしています。富田さんの演奏を聴くのも、もう5年以上前になります。当時は、恐竜教授からピアノを教わっていた時代ですが、その後もヨーロッパを中心にご活躍されていて、今やドイツでピアノを教えておられるので、久しぶりの再会が本当に楽しみなのです。どんなピアノを弾かれるのでしょう。大田さんは現在、関東を中心にご活躍なので、5月にソロリサイタルを聴かせていただいたところですが、室内楽がすごく得意で、他の楽器と組み合わさった時のアコーディオンの魅力の出し方を知っている彼女の、久しぶりの室内楽を聴けることも、すごく楽しみなのです。

ということで、皆様、応援よろしくお願いします。ぼくも聴きにいきます。

http://crossair.jp/crossair2015/