野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

釜ヶ崎オ!ペラ

大阪の釜ヶ崎芸術大学は、西成の個性的なおじさん達をコアメンバーとして3年間、断続的に継続していまして、本当に継続は力でして、大変なことになっています。3年前には、戸惑いながら始まっていた詩やダンスや音楽やガムランや哲学や書道などが、いつの間にか当たり前に自分たちの血肉になっていて、何だか不思議な力が着実に養われていて、とんでもないエネルギーがうごめいているのです。

本日、2ヶ月ぶりに、釜ヶ崎芸術大学の「即興オ!ペラ」の授業を行いましたが、本日はイギリスから来日中のオペラ歌手のロブと一緒にワークショップをファシリテートしました。リードするほど、リードしていません。ファシリテートと言いますか、ガイドと言うほどもガイドしていません。ちょっときっかけを与えるだけで、どんどん表現が膨らみ、笑いが弾け、世界が伸び縮みし、宇宙がひっくり返るのです。凄いことが起こっています。

ロブは、「オペラをします」と言ってオペラをさせるのではなく、何となく一緒に遊んでいるうちに、気がつくと我々がオペラをさせられているように、こっそり誘導する人です。これは、見事なトリックでして、ある友人は「オペラ詐欺」と敬意を込めて名づけていました。それで言うと、ぼくは「作曲詐欺」をしているそうです。気がつかないうちに、みんなを作曲に巻き込んでいるのですから。そういう意味で、ロブとぼくは作曲家とオペラ歌手で立場は違うけれども、似ているのです。

2月22日、「釜ヶ崎オ!ペラ」が開催されます。奇跡のような愛しく濃い時間が、繰り広げられるでしょう。これら全てを上田假奈代は詩と呼ぶのです。世界には、こんなに愛しい言葉があり、人々がいて、それを愛でることができることに、ぼくたちは囁かな幸せを感じるのです。それを、強い決意と覚悟を持って、応援し続けている人々、その場に参加する全ての人々に敬意を。

今日も本当にありがとう!

http://www.cocoroom.org/project/k-opera/index.html