野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

ストリートワイズオペラ

イギリスでホームレスの人々とオペラをつくっている団体「ストリートワイズオペラ」のマット・ピーコックさんと、オペラ歌手のロブ・ギルドンさん、ブリティッシュ・カウンシルの方々に付き添われて来日。ぼくは、20年前にブリティッシュ・カウンシルのフェローシップで、イギリスに1年住んだので、非常にご恩がありまして、ささやかな恩返しができるのは嬉しいです。大阪のココルームにて、打ち合わせ。

マット、ロブは、ぼくのお風呂の音楽のYouTube動画なども既に見ていてくれて、理解が速かったので、コミュニケーションもスムーズでした。

その後、釜ヶ崎芸術大学のレクチャーとして、マットさんによるストリートワイズオペラに関するプレゼンがあり、ロブさんのミニワークショップ体験コーナーもありました。オペラ批評家をしながら、週に1回、ホームレスセンターで宿直の仕事をしていたマットさん。当時、ある政治家がロイヤルオペラハウスの外にいるホームレスたちを侮辱する発言をしたことに激怒したホームレスの人が、マットさんに自分たちがロイヤルオペラハウスの中で何かできないか、と持ちかけたことがきっかけで、13年前にストリートワイズオペラを立ち上げました。今では、6都市の12のホームレスセンターで、毎週2時間、オペラのワークショップを開催し続けています。(ちなみに、イギリスには、1200以上のホームレスセンターに、5万の一時滞在用のベッドがあるそうですが、潜在的に50万人のホームレスがいるので、数は全然追いついていないとのこと)

http://www.cocoroom.org/project/k-opera/index.html

その後、服部緑地内にある日本センチュリー交響楽団のセンチュリー・オーケストラハウスにて、ロブさんのワークショップを開催。オーケストラの楽団員も何名か参加。他にも音楽療法士の方、ホール職員の方などで、15名ほどの参加。

ロブさんの動きを真似するゲーム⇒メキシカンウェーブ⇒ウェーブをしながら、自分の名前を言う⇒名前をリズムにのせて言う⇒一人ずつ自分の名前を歌うのを重ねていく、というように、歌うつもりがない人を気がついたら歌っている、という状況をつくる導入で、テンポよく進めていきます。イギリスでよくあるアプローチです。その後、手拍子でリズムをしてリズムを重ね合わせたり、それに合わせてオペラの一節となる歌を歌ったり、少しずつ気がついたら、知らないうちに「カルメン」を演じている、という流れでした。やるつもりでないのに、いつの間にかやっている、というのが特徴です。ワークショップ終了後も、30分以上熱心な質問タイムが続きました。明日から、ロブさんと釜ヶ崎でワークショップをするのが楽しみです。

京都に戻り、ガムラン。本日は、初参加の方も多数おられ、また違った味わいの即興。帰宅後、劇団主宰の隣人宅に俳優さんが宿泊中なので、そちらで深夜まで語り合うことに。