野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

アナンのour music

いよいよ明日のコンサートに向けて、大詰めです。本日は、アナン・ナルコンを、味わい尽す日であります。いきなり、コヒヤマさんの創作楽器による即興セッションから幕開け。炊飯器がタイの楽器のよう。通訳のアドゥンさんも実はタイの伝統楽器のミュージシャン。

「だじゃれ音楽研究会」のメンバーと、即興演奏を楽しみます。DAJAREという言葉から、アナンが作曲した曲を演奏します。アナンのアイディアを、みんなでどう発展させようかと日本語で話して、それを訳そうとする頃に、全然違う角度からアナンの提案があったりします。言葉が通じないために、話が噛み合ないところもあり、それがポジティブに作用させる道を手探りしつつ、気がつくと「だじゃれ」という言葉からゲームのようになっていき、このゲームを通してメンバーが仲良くなっていき、みんなの表情が緩んでいきました。アナンにとって音楽作品を練り上げていくことよりも、その場にいる人々の笑顔が大切なのです。

昨年、バンコクでアナンにインタビューした時、あなたの音楽(your music)について質問すると、私達の音楽(our music)は、と返事がありました。単数形のつもりでyourと聞いているのに、常に複数形のour, weと答えて来るのです。そして、our musicをする上で、仲良くなることが、何よりも大切だ、とアナンは考えているのでしょう。

随分、ゲームを楽しみました。即興もしました。そして、施設見学に来た方々も加わっていただきゲームをしたところ、メンバーに入りたいと名乗り出ていただいた方もいました。アドゥンさんとアナンのデュオも、よかった。そして、15年ぶりに演奏する「ごんべえさん」も、本当に懐かしく嬉しい響きをしておりました。

練習と練習の合間の休憩時間に、メンバー達の間で交流が起こるので、休憩時間がとても愛しいのです。休憩ばかりしていては、本番の準備にはよくないのかもしれませんが、逆説的ですが、休憩こそが一番大切なリハーサルのように感じました。

「だじゃれ音楽の歴史」の練習もして、おつかれさま。明日の曲順も考えて、パワーポイントも準備して、いよいよ明日が本番ですが、明日もアナンとの時間を味わいたい、と思います。

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