野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

別所保育園にて

邦楽普及NPO「えん」の伊藤和子さんからのご依頼で、高槻にある別所保育園に行きまして、5歳児達と箏で遊ぶ、というお題に取り組みました。

http://mediacapsule.ne.jp/en/

約20名の園児達との2時間。2時間集中力がもつかなぁ、と不安でしたが、なんとか最後まで楽しく時間を過ごすことができました。

最初は導入のお話から始まり、鍵ハモソロ演奏を聴いてもらう。聞いてもらっているうちに、子ども達が色々、ハチみたい、と言い出し、そこから、ブタみたい、カバみたい。カバやって!ゾウさんやって!となり、動物模倣演奏をいろいろ繰り出しているうちに、「ワニやって!」と来たので、「ワニバレエ」を歌う。子ども達も一緒に歌い踊る。

その後、楽器を一人ずつに手渡そうと思い、「音楽ってどうやるの」にも書いてある「それは知らない」で、楽器を手渡していく。ポーズをとって止まっていないと楽器が手渡されないので、子ども達は一生懸命ポーズをとっていてくれました。

保育園にあったハンドベル、鉄琴、木琴、タンバリン、ウッドブロックなどの楽器を手渡す。その後、「1234」という曲を演奏しました。単純なルールで、みんな集中して演奏してくれます。ただ、金属系の打楽器を強く叩くと耳に痛いので、少し楽器編成を変えて、ベルや鉄琴を担当した子どもに箏をやってもらい、その機会に楽器を回収。これで、オーケストレーションができました。お箏の音が効果的な楽器配分になるように、その後、微妙にタンバリンを増やしたり、ペットボトルで低音を補ったりしていくうちに、よき色彩に。

その後は、交代でお箏担当にして、全員で即興。最終的には、全員お箏を触りました。そして、ソロでタンバリンをする時に、決まったリズムパターンを作った子どもがいたので、それを発展させて全員で演奏。

休憩後は、歌を歌ってもらう。「ドラえもん」は新しい歌で知らない曲だった。「小さな世界」は知っていた。その後、歌を作ろうと作詞/作曲。「はみがき」の歌を作った。せっかくなので、お箏で伴奏して歌う。

はみがき はみがき たのしいな
しゃかしゃか しゃかしゃか たのしいな
じゃーーん

はみがき はみがき うれしいな
ぐじゅぐじゅ ぐじゅぐじゅ うれしいな
じゃーーーん

メロディーを決めるのに、お箏を触りながら決める。振付けも考える。最後に、二の糸をじゃーーんとやりたい、と子どもの意見。そこは、みんなで好きなポーズにしよう、と別の子ども。こうして、はみがきの歌、完成。

お箏で歌の伴奏に挑戦する子どもも出ました。ゆっくりだけど、みんなの前で弾けました。拍手。

そして、最後に、園にある色々な楽器を実演しようと、鉄琴でのソロ演奏を聴いてもらい、その後、トライアングルのソロも聴いてもらう。トライアングルを揺らしてヴィブラートをかけるのを、聞いてもらう。お箏でもできると、と伊藤和子さんに、ユリ色を実演してもらう。「これは、力がいるから、大きくなったらね」と言ったものの、5歳児達は、やりたそうである。

そこで、一列に並ばせて、和子さんの演奏した絃を、子どもが順番に、押し手をするか、ユリをしました。これが、意外に5歳の力でも、音が変わるのが分かる程度には、押せたり揺らせたりするのです。感激。そして、小さな手で一生懸命揺らす。ほかの子どもたちも、驚くべき程静かに集中してくれて、繊細な音の世界を味わいました。

保育園児とお箏で遊ぶ、という人生初体験でしたが、充実した時間でした。こうした活動を、日本全国の保育園でやれたらなぁ、と思います。こうした実践の場をつくっておられる別所保育園、伊藤和子さんには、本当に頭が下がります。