野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

相撲聞芸術、岸田劉生、復興ダンゴ

午前中は両国にて、「日本相撲聞芸術作曲家協議会」(=ジャクシャ=JACSHA=Japan Association of Composers for Sumo Hearing Arts)の打ち合わせ。結成して以来、構想をあたためること6年間。いよいよ始動します。沖縄の鶴見幸代さん、東京の樅山智子さん、京都の野村誠が、3人揃って両国の町を歩くのは、なんとも嬉しいことです。

http://d.hatena.ne.jp/makotonomura/20080513

それにしても、相撲というのは、呼び出しさんの歌声、触れ太鼓のリズム、拍子木、土俵入りや弓取り式のダンス、行司の舞、相撲字の書道、ちゃんこ鍋の料理、相撲甚句の歌唱、土俵祭りなど、芸術の宝庫でありまして、こうした相撲の中の芸術に耳を傾けることから生まれてくる「相撲聞芸術」を、我々ジャクシャは提唱していこうと考えております。

そして、夜の世田谷美術館にて「復興ダンゴ」の公演に備えて、美術館へ。本番前に、現在行われている展示を見ておこうと、展覧会を鑑賞。岸田劉生の画力に圧倒されるとともに、洋画のみならず日本画にも取り組み、さらには、芸術批評、演劇批評などにも取り組む多才さにも感銘を受け、夜の公演に向けて、良いエネルギーをいただきました。

http://setagayaartmuseum.or.jp/exhibition/exhibition.html

夜は、「復興ダンゴ」の公演。エントランス空間という場でしたので、客席と舞台の間に仕切りがなく、観客の方々と同じ空間を体感しているように感じました。また、普段からそうではありますが、観客の方々の集中力とか思いというものも、強く感じながら演奏することになりました。横浜で3回上演し、愛知で3回、伊丹で3回上演したので、今日が10回目の公演でしたが、過去の9回と全く違った初めての感覚で、今日のこの10回目が上演できました。エントランスの残響が凄いので、「指は舞う」や「ベル」のシーンが、ここでしか味わえないテイストになっております。100回やっても、やる度に新しくなる作品なのだろう、と思います。いよいよ、明日の公演で、2ヶ月続いた「復興ダンゴ」公演の千秋楽になります。ただ、この作品は、再演の予定は、今のところありませんが、将来、再演の機会を見つけていきたいと願っています。