野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

だじゃれ/ガムラン/邦楽/即興

本日も、「千住だじゃれ音楽祭」11月10日の「メメットを芸大に歓迎だい」に向けて、色々やりました。

1)だじゃれ音楽研究会

「だじゃれ音楽研究会」のメンバーで、昨日に続いてガムランに挑戦。昨日「ケロリン唱」と「トイレに行っといれ」がうまくいったので、本日は、さらにメメットの曲にも挑戦しました。メメットを芸大に歓迎するからには、メメットの曲をやるべきだろうと、楽譜もなく、録音を聴きながら耳コピーして、さらに勝手にだじゃれに関する歌詞までのせて歌ってみました。ポップな曲なのですが、インドネシア人のようなノリは出せず、どうせだったら日本的なノリに変えてしまえとアレンジして、これはこれで良い感じ。それにしても、「だじゃれ音楽研究会」のメンバーの応用力の高さは凄い。2年前に「だじゃれ音楽」を掲げて始めた頃には想像もつかないくらい、音楽性も、即興性も、だじゃれ力も高まっているし、いきなり無茶ぶりをしても、着いて来てくれる。積極性と応用力の高さが凄いのです。「ケロリン唱」などは、完全にレパートリーになっていまして、最早アマチュアのレベルを超えています。「トイレに行っといれ」も昨日よりもクオリティが上がっています。昨日来ていたメンバーはそんなにいなくって、今日初めてガムランに触れる人が多いのに。

2)ガムラン奏者達

昨日は東京芸大ガムランの方々が来てくれたのですが、今日は東京音大ガムランの方々が来てくれました(東京芸大の方もお二人は連日の参加です。ありがたい)。このメンバーが野村誠の初期作品「踊れ!ベートーヴェン」の前半部分を演奏してくれます。テンポも速い難曲なので、何度も練習しましたが、徐々に曲調をつかんでいただいております。こんな風に東京のガムラン関係者が集う場ができ、そこで自分の曲が演奏していただけるのも、嬉しいことです。

3)邦楽科の学生さん

メメットの要望で、日本の楽器の人とセッションしたい、ということで、本日は箏の松沢祐紗さんと、鼓の小川実加子さんが来てくれました。ユサさんは即興もよくやるそうです。ミカコさんによれば、お囃子では「あしらう」と言って、その場で即興的に対応することが要求されるとのこと。ということで、無茶ぶりで、その場で野村のピアノに合わせて即興セッションを試みましたが、お二人とも物怖じせず素晴らしい演奏でした。若くて才能のある人材が育っているのだなぁと知り、ぼくは嬉しい限りです。箏という楽器は、「そう」と言いますし、「こと」とも言いますが、「そういうことですね」と言うフレーズが見事にだじゃれです。東京芸大というのは、このように優れた逸材が何人も在籍しているのですね。「千住だじゃれ音楽祭」では、芸大の中にいる逸材を、「だじゃれ音楽」を通して紹介することにも、重点を置いているわけです。千住の町の人々にとって、芸大という存在は謎に満ちていますし、千住の町にとって異質な存在だと思う人もいるそうです。しかし、違うのです。ぼくは日本の未来を、芸術の未来を、無謀にも「だじゃれ音楽」に託しています。「だじゃれ音楽」の発展とともに、東京芸大から卓越した技術を持ち、ユーモアを解し、笑いに開いた感性を持つ逸材が、次々に輩出されることになるでしょう。11年前、音楽環境創造科が誕生した時に、最初に非常勤講師で呼ばれまして、その時から一貫して言っているのが、音楽環境創造科の学生は、芸大の外にもいっぱい目を向けるべきですが、同時に芸大の中にどんな面白い人材がいて、その人達は今、どこへ向かおうとしているのか、に常に目を向けて欲しいということです。