野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

ラピンドー

ウォウォとウーキルと、ジョグジャでのコンサートに関する打ち合わせで、また、とんでもない話を聞いた。ラピンドーの件だ。インドネシアには原発がないので、原発の話だとピンと来ないかもしれないが、ラピンドーの話に置き換えれば、インドネシア人にも分かりやすいのではないか、と言う。ラピンドーって何だ?最初は、何が何だかさっぱり理解ができない。それは、こんな話だった。

5年ほど前のこと、ラピンドーという会社が、東ジャワで天然資源を採掘していたが、そこで重大なミスをしてしまった。その結果、泥が出続け、4つほどの村が、泥の底に沈んでしまい、住民たちは全員、移住を余儀なくされた。これは、自然災害ではなく、人災だ。しかし、会社側は、自然災害でもあると、言い逃れをする。ラピンドーの社長は、大金持ちであり、政治家でもあり、来年のインドネシアの大統領選に出馬しようとしている。

「それだけの重大な問題を起こし、未だに解決すらできていないのに、大統領選に出馬って、どういうこと?」
「お金と政治だよ。でも、日本の原発事故も同じ構造でしょ。何も解決していない。でも、政府もラピンドーも、このことをなかったことにしようとしている。」

ウーキルのバンドは、ラピンドーの事件をテーマにしたプロジェクトもしてきたらしい。インドネシアにおけるラピンドー事件と、それを巡るアートの状況。思いがけない話が浮上してきた。