野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

お年寄りの言葉とヒップホップ

話している言葉の映像から作曲するきっかけは、一昨年の福岡市博物館でした。吉野さつきさんのアーツマネジメントのワークショップを題材に、映像+ピアノの作品を作りました。

で、同様のやり方で、お年寄りが戦後の復興を語る映像を題材に、ドキュメンタリー・オペラ「復興ダンゴ」を作っております。本日、映像のお年寄りの言葉に合わせて、ピアノの部分を作曲していたのですが、お年寄りの言葉のテンポやリズム、そしてニュアンスは、20代〜50代くらいの人々の日本語のリズムやテンポとは、全然違うんだ、ということを、思い知りました。

言葉をループさせて、そこに音楽を合わせていく手法は、ヒップホップ・ミュージックや、スティーブ・ライヒのミニマル音楽に近いアプローチなのですが、お年寄りの言葉は、英語のラップとは程遠く、ミニマル音楽の均質なビート感とも程遠い、非常に人間臭く独特なもので、なかなか、奥が深いです。現在、試行錯誤中です。この独特な間合いやテンポを尊重して、音楽を作っていくと、ピアノと映像による浄瑠璃になっていくはずです。勉強になります。

お年寄りの言葉のリズム感とは全然違う参考映像は、こちら


インストでのお年寄りのテンポ感は、こちら(2年前に発表した「老人ホーム・REMIX#1」)

http://sakuraen.blogspot.com/