野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

八百屋が文化の発信地

ジョグジャカルタインドネシア)から京都に戻って来て、3ヶ月が経ちました。20年前(90年代初頭)の左京区では、文化交流の場として、カフェブームが始まっていました。当時ダムタイプの小山田徹さんや当時京大シネマ研究会の佐藤知久君らが、京大地塩寮でウイークエンドカフェをやったりして、こうしたカフェに用事もないのに出かけていくと、そこには、色々なアーティストや変な人がいて、色々な交流や情報交換が行われました。

で、今、どこが文化の交流の場になりそうか、なのですが、どうも八百屋が面白いのです。地元の無農薬の野菜などを扱っている個人経営の八百屋さんは、社会の流通の仕組み、経済の仕組みに対して、違った仕組みを自ら立ち上げようとしています。そうした八百屋さんに行って、野菜を買うだけではなく、立ち話をしていると、思いもかけない情報が入ってくるのです。90年代にカフェに出かけていたようなワクワク感を持てる八百屋が、ポツポツと登場しているのです。

今日も、八百屋さんで野菜を買いながら、面白い話を聞きました。それは、ユニークな学習塾の話でした。合格率100%という脅威の実績を持つ塾らしく、そこではまず最初に「水と野菜」を変えることから教え始めるというのです。学習塾なのですから、まず勉強を教えそうなところですが、食のことから教えるというのです。その学習塾のかつての塾生達が先生を慕って集まり、そこからベジタリアンのラーメン屋が誕生した、というような話。

美味しい野菜、安全な野菜を買いたいという理由だけでなく、こうした会話を楽しむために、八百屋に行くことが楽しみになっております。文化の発信地としての八百屋が、これから徐々に増えていきそうな予感で、スーパーには全く行かないようになりました。