野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

不便を楽しもう!〜あいのてさんワールドミュージックフェスティバルin小金井(通称:小金井あいのてさん祭り)千秋楽

最終日、昼のコンサートは、たくさんの子どもたちが、夜のコンサートには、たくさんの大人達が、来てくれました。どこからもお金が出ないで、完全なる自主企画で進めた手づくりフェスティバルで、まさか、1年目から、ここまでやれるとは、想像以上の大成功で感激です。

関わっていただいた全ての皆様、本当にありがとうございました。電車で遠方からお越しの方々も、そして、地元の皆さんも、一緒に楽しんで盛り上がってくれて、ありがとうございます。工夫と機転で何事にも対処のスタッフの皆さん、素晴らしい演奏/パフォーマンスでの共演の皆さん、本当にありがとうございました。エアコンも故障していて、みんなが扇風機を家から持ち寄り、ペットボトルに水を入れて凍らせてお客さんに配って、日差しをよけを作ったりしながらの昼のコンサート。苦情なしで、病人なしで、乗り切れて、本当に嬉しいです。

そして、昼に比べれば大丈夫と思えた夜も、騒音対策で窓を閉め切ったので、やはり、熱気はすごく、そんな中でも、みんなで暑い暑いと言いながらコンサートを楽しめて、本当に皆さんに感謝です。

そして、本当に良い音楽ができました。ぼく自身は、インドネシアに行って、さらには、震災後の被爆国家日本の住民として生活を始め、生まれ変わりましたので、どんな演奏ができるのか、ドキドキしておりました。生まれ変わって、今の自分の精一杯の音楽をすることができたし、今後の音楽人生も、この現状に向き合い、精一杯悩み、精一杯でも等身大の表現で展開していく手応えと希望を感じることができたライブでした。そして、良い仲間がいること、これは、本当に一生の財産です。大切にしていきたいです。

小金井という町が、大好きになりました。そして、エアコンも壊れていて、蛍光灯の灯りで、決して使い勝手が便利とは言えない「シャトー2F」というスペースの「不便さの魅力」に感謝です。色々、不便だからこそ、協力し合って、フェスティバルができました。これから、もっともっと、不便な世の中を作っていきたいです。協力し合う社会を作る上で、不便は本当に大切です。程よい不便があれば、みんなで楽しんで工夫できる隙間が生まれます。ぼくらが目指す方向はこっちだ、と確信しました。

ご感想などあれば、是非、お聞かせ下さい。

昼のコンサートと夜のコンサートの間には、小金井の「さよなら原発パレード」にも、少しだけ参加させていただきました。パレードに参加した方も、コンサートに来てくれました。今日は、代々木の方でも「脱原発パレード」やってたそうで、そちらも凄かったらしいです。大江健三郎さんや坂本龍一さんなどが呼びかけて、6万人のパレードが行われたとか。6万人のパレードが行われても、新聞などには、あまり掲載されないようです。

あとは、16年前に、水戸芸術館でコンサートをした時の(当時の)中学生が見に来てくれました。当時、26歳だったぼくは、ソロコンサートか、バンドpou-fouでコンサートをして欲しい、と水戸芸術館学芸員さんから依頼があったのに、せっかくの機会だから吹奏楽団と一緒にやりたい、と言ったのです。そして、中学校の吹奏楽部と共演することになりました。山下残くん、島袋道浩くん、砂山典子さん、河合拓始さんほか、面白い友人を何人も中学校に連れて行き、吹奏楽とロックバンドと2台ピアノのための「でしでしでし」という作品を発表しました。



当時、1週間を共に過ごした中学生達は、もちろん大人になっていました。ジャズピアニストになって即興の連弾ライブもしていたり、スリランカに一年住んだり、ホンジュラス青年海外協力隊に行ったり、中学生から作曲を始めているとか、消息の一部を聞くだけでも、ひょっとしたら、あの1週間から彼女達に少なからぬ何かが伝わったのかもな、と嬉しく話を聞きました。

ということは、小金井で10年間、「あいのてさん祭り」を地道に続けていくことで、これから育っていく若い人々にも、きっと何かが継承されていくのかな、と希望を感じれる再会でもありました。