野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

ギギー君と

 夕方は、作曲家/鍵盤ハーモニカ奏者のギギー君がやって来て、リハーサルをしました。今までに作った12曲を全部、一度演奏しようと思って、メモ書きを整理したりして、準備していたところ、ギギー君から、「今まで作った曲を全部順番にやってみたいです。」と提案されて、驚きました。奇遇です。やはり、ジャワ人は空気を読むのがうまいか。
 ギギー君は、5月の「テンビ音楽祭(Festival Musik Tembi) 2011」の実行委員をやっているらしい。フェスティバルのテーマは、「新しい伝統音楽(Musik Tradisi Baru)」で、伝統音楽の作曲家スパンガ氏を招聘するのを計画しているらしい。また、伝統音楽と現代音楽の融合した作品を、広く公募しているようだ。
「7月には、ドイツ文化センターでも現代音楽祭あるよ。それは、ダルムシュタットのスタイルの音楽になるけど。」
とのころ。彼自身、現代音楽と伝統音楽の狭間で、どういった活動を展開していくかについて、悩んでいた時、ぼくの「ウマとの音楽」に出会ったのが大きな転機だったらしい。もっと柔軟に自由に音楽を作っていけば良いと思えたそうだ。そもそも、彼は、ぼくと出会う以前から、鍵盤ハーモニカを使った演奏活動をしているし、現代音楽にも伝統音楽にも、とても詳しい。もともと、抜群にユニークでオリジナルな存在だし、勉強熱心だし、行動力もある。毎週ぼくと接し続けていることで、彼にとっても自分の道を信じて進むのに心強い、ということだろうと思う。とても嬉しいし、インドネシアの若き才能と、色々な影響を及ぼし合えるのは、幸福なことだと思う。
 彼の友人が主宰するジョグジャの若手作曲家グループのために、レクチャーをして欲しいと、以前からギギー君が言っていたのを思い出し、こちらから提案してみた。せっかくジョグジャに滞在している間に、若き才能達に、外からの情報を提供していきたいと思うから。