野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

スレンドロのチューニングについて

ガムランのチューニングに興味のない方だけ、お読み下さい)
数日前に、パッ・パルトに、ガムランチューニングの鍵盤ハーモニカをデモンストレートした時、
ペロッグはペロッグに聞こえたらしいが、スレンドロはスレンドロに聞こえない、と言っていた。
これは、ぼくには予想外だった。
というのも、ガムランの音階は楽器セットによって違うので、
色んなスレンドロがある。
だから、滞在先にある楽器のスレンドロとアバウトに合わせておけば、スレンドロと認識できるだろう、と思ったのだ。
ところが、パッ・パルトには、スレンドロに聞こえなかったらしい。
それで、ぼくは、ここ数日、滞在先の楽器のチューニングとの誤差を、より少なくしたスレンドロ鍵盤ハーモニカにした。

これは、既存の楽器に近づけているだけなのだが、そもそも、スレンドロ音階のアイデンティティとは何だろう?という疑問が沸いてきた。
どういう条件が揃えば、スレンドロと言えるのだろう?
そう思って滞在先のグンデルでスレンドロを確認すると、

1)低い6と3は、ほぼ5度の関係にある
2)2と6はほぼ5度の関係にある。

この二つが、はっきりした特徴。では、以下のような手順でチューニングすれば、スレンドロができる。

1)6を最初に決める。次に、1オクターブ低い6を決める。
2)低い6から、ほぼ5度の高さで3を決める。
3)高い6から、ほぼ5度の高さで2を決める。
4)なんとなく、低い6と2の中間に1を決め、なんとなく高い6と3の間に5を決める。

そうだと仮定すれば、236の関係は、どのスレンドロでも同じで、1と5は微妙に違うはず。
色んなスレンドロをチェックした上で、ぼくの鍵盤ハーモニカのチューニングを再考したい。