野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

野外にて

ISI(芸大)のキャンパスに、今回初めて行く。
バスで行ったのだが、バスの中の人々はフレンドリーで、俳優という兄ちゃんと話がはずみ、鍵盤ハーモニカを吹いたり、楽しく過ごす。
キャンパスではガムランの先生であるシスワディさんと会う。シスワディさんのオフィスで、雑談。インドネシア語を勉強するために作った3つの歌を聞いてもらう。聞いてもらうと、これは、どんな音階なのか?スレンドロかペロッグか西洋音階か、と聞かれる。歌なので、伴奏楽器により、西洋音階にもガムラン音階にもなりうる。
その後、自動車乗り合いで、約2時間、海岸近くのBaronまで出かけていく。博士号を取得しようとしている人(Hendro Martonoさん、この人は芸大の振付の先生らしい)の発表のリハーサルがあるらしく、それを特別に見学させてもらえることになった(Subowoさんが音楽をやっているらしいので)。山道を延々と行き、ジェットコースターのよう。インドネシア人も日本人も車酔い。
で、田舎も田舎、非常に田舎で、畑にダンサーたちが散らばって、ヘンドロさんが色々指示をしているが、本物の農民が農作業しているように見えたり、ベタベタな吉本みたいな芝居に見えたり、子どもが出てきて手遊びをしたり、様々な出来事がごった煮になっている。何をしようとしているのか完成状態ではないので分からないが、非常に面白い。スボウォさんの方は、地元の子ども(もっと若く見えるがきっと15歳くらいだろうか?)が、結構、気ままに玩具楽器をやったり、みんなでスリン(笛)を吹いたり、鈴を鳴らしたり、声を出したり、まぁ、やることはシンプルで、スボウォさんもたいして指示もしていないのだが、とてもセンスが良くノリのある音楽が立ち上がる。子どもが演奏している様子を見ずに音だけで聞いたら、どんなプロの精鋭音楽家が演奏しているのだろうという演奏。見ると、近所の子どもが冗談気分で適当にやっている。このギャップが凄い。日没後、ヘンドロさんの作品のDVDを見せてもらうが、これが、また、かなり面白い。こうした面白いものがあるにも関わらず、これが、インドネシアの中でも人知れず行われていて、まして、国外になど全然伝わっていない。でも、そうしたことが確実にあるのだなぁ、と思う。