野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

ぼくはピアニストです。

インドネシアでやりたいこととして、ぼくは、ガムラン音楽の創作をあげた。それと同時に、インドネシアという場にいるからこそ、ピアノについて考える良い機会だとも思っている。南半球で、東南アジアで、ガムランという非常に優れた伝統音楽を持つ国で、隣の家からチープな音質の電子キーボードで下手くそな「ねこふんじゃった」が聞こえてくる、この環境。そして、非常にレベルの高いガムラン演奏家が揃う芸大の西洋音楽科からは、初心者のような演奏が聞こえてくる。欧米とも日本とも地理的に遥かに離れていて、しかし、生活の様々なところに、欧米や日本が侵入しているこの国で、ピアノを弾く日本人作曲家のぼくの表現は、西洋の文脈や日本の文脈と無関係に成り立つだろうか?

などと、考えるわけだが、この国にいるんだったら、ピアノを教えてもいいな、という気になったり、佐久間新さんと「Keyboard Choreography Collection」をジャワ人を交えてやってみたいし、ピアノのコンサートをこっちでやってみたい。ひとまず、私はピアニストです、と名乗ってみようと思う。