野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

博物館で音楽をする

福岡にやってきました。

博物館で音楽をする。MuseumとMusicは同じ語源から来ているくらいですから、まぁ、遠くないのですが。しかし、博物館は、本来、音楽をする場所ではありません。今日は、閉館後の博物館で、音楽をするのです。それが、今日のワークショップ。ワークショップのタイトルは、「野村誠の音楽博物館」。

で、展示室に入ったら、まぁ、作品を選んでもらおうと思っていたのですが、考えが変わって、ここで演奏したい、という場所を、選んでもらいました。5グループに分かれて。というのも、博物館の中は、あっちもこっちも舞台セットのように見えるのです。

博物館では、普通は、展示物を一つずつ見るのですが、空間として見て、ここで演奏すると、背景にこれが見えるとか、考えると、博物館の見え方が全然違ってきます。

そうやって、まず、場所を選んでもらって、場所が決まってから、そこから見える展示物に目を移してもらう。そして、それを楽譜として解読して、音楽にしてもらいました。

できた曲は、

1 板付遺跡 (これが、立ったり座ったりかわいらしい曲になってまして)
2 甕棺→金隅遺跡→金印漢委如国王 (移動しながらの儀式的で音響的な打楽器アンサンブル)
3 遣唐使船 (子ども二人と大人一人とは思えない優れたフリーインプロの名演)
4 五ケ浦船 (パフォーマティヴなソリストを含めた平和への思いを込めた音楽)
5 山笠 (祭りの情景、特に喧嘩を仲裁するシーンを音で描く)

で、各曲の演奏後には、演奏者からの展示物をどのように解釈して演奏したのか、の解説が入り、その後、学芸員より、本当の解説が入る、という2重解説構造になりました。

博物館の中のたった5つの展示を鑑賞したのですが、随分、いろいろ勉強になりました。そして、5つの魅力的な曲が生まれました。

この5曲の映像を編集して、7月17/18日に上演するための作品を作ります。編集では、音に着目するよりも、演奏者の動きに着目して、編集しようと考えています。つまり、

博物館→音楽→ダンス
という流れを作ろうと考えているのです。

ワークショップの終了前に、アトリウムで、鍵盤ハーモニカのソロ演奏をさせてもらいました。天井が高く(27メートルだそうです)、すごいディレイがかかる音響効果が楽しく、味合わせてもらいました。

福岡市博物館の皆さん、福岡市文化芸術振興財団の皆さん、ワークショップ参加者の皆さん、お疲れさまでした。

http://www.ffac.or.jp/event/event-doc.asp?did=142