7月17/18日の公演のプログラムの文章を書きました。こちらです。
ぜひ、お越し下さい。
公演詳細はこちら
http://www.ffac.or.jp/event/event-doc.asp?did=142
第1部 門限ズ
1) Anablepsis
2) Duo1
3) 左手の法則
4) Duo2
5) 10秒リレー
6) No Notes 5
7) 進化する福岡トリエンナーレ
第2部 福岡市博物館・REMIX
1) Music
2) Arts Management
3) Dance
4) Drama
5) Workshop休憩
第3部 老人ホーム・REMIX
1) ドラムスコ
2) 大正琴REMIX
3) たどたどピアノ組曲
4) わいわい音頭
5) セッション
6) わいわい音頭変奏曲
「門限ズ」について
野村は、これまで様々な作曲の可能性を追求してきました。1999年に考案した「しょうぎ作曲」で、作曲を続ける中、音楽の中から演劇やダンスの要素が芽生えてきました。また、2000年代に入り、幼児の音楽の研究を始めてみると、幼児の遊びの中では、音楽/演劇/ダンスの明確な境界線などなく、非常に自然な形でジャンルの横断がなされていることを再確認することができました。そう、幼児の「遊び」は、大きなインスピレーションだったのです。そもそも、演奏することを英語では「play」言いますし、古語でも「遊び」と言えば演奏することを指します。演奏する人=player=遊ぶ人。Playerを集めて、音楽/演劇/ダンスを横断するグループを作ろうと思いました。それが、「門限ズ」です。野村が敬愛する俳優の倉品淳子さんとダンサーの遠田誠さんが、「門限ズ」メンバーになりました。
「門限ズ」には、もう一つのテーマがあります。出演者と裏方という関係性です。受付の人も、携帯電話のアナウンスをお切り下さいと伝えるのも、舞台上で演じるのも、音響を担当する人、色々な役割があります。演出家が演出するのは舞台上の俳優の動き、でも、受付や前説の挨拶やお客さんの誘導などを演出するもう一人の演出家がいます。このことを一緒に考えようとアーツマネージャー/ワークショップ・コーディネーターの吉野さつきさんがメンバーになりました。
「福岡市博物館・REMIX」について
近年、野村のテーマの一つに、「ポスト・ワークショップ」があります。「ポスト・ワークショップ」とは、吉野さつきの造語ですが、ここでは、「ワークショップ」で生み出された成果物のワークショップ後の展開、としておきます。野村は、この考えを、「ポスト・ワークショップ理論」として発展させました。それは、簡単に言えば、
1)プロセスを重視し、結果を求めない遊び場としてワークショップは、結果を求めないために、逆に偶発的に雑多な物が生まれてくる創造的な場になり得る
2)そうしたワークショップをドキュメントし、そこを起点とすると、意図しないクリエイションが作品化されるという2段階から成り立ちます。昨年に行った「コレコネ組曲」というワークショップは、1)であり、そこから生まれたピアノのための21の小品「福岡市美術館」やピアノのための21のダンス「福岡市美術館REMIX」は2)にあたります。今回は、福岡市博物館で、音楽、アーツマネジメント、ダンス、演劇の4つのワークショップを開催し、それを映像に撮影(泉山朗土)し編集(上田謙太郎)し、作品化しました。演劇の中に音楽があり、音楽の中にダンスがあり、マネジメントの中にダンスや音楽があり、ということが、浮き彫りになるでしょう。そして、博物館の中で開催されたワークショップは、本当に貴重な体験で、その場にいた人だけが体験できるのですが、その時間の豊かさを違った形で追体験する場としての作品にしたいと思い、この作品を作りました。
「老人ホーム・REMIX」について
これも、「ポスト・ワークショップ」作品です。野村は、1999年より横浜の老人ホーム「さくら苑」で共同作曲を続けてきました。それについては、野村誠+大沢久子著「老人ホームに音楽がひびく」(晶文社)という本の中でも詳しく書いていますが、10年以上続けてきて、ようやく作品化することができました。ぼく自身のピアノ音楽の可能性を探求したい気持ちと結びつき、ピアノ+映像の作品として作りました。