野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

お湯→水、銭湯→プール、福岡→愛知

愛知芸術文化センターに、打ち合わせに行く。「愛知トリエンナーレ2010」の打ち合わせ。

ぼくは依頼されたのは、野外パフォーマンスですが、ぼくは名古屋出身なので、真夏の名古屋の蒸し暑さの不快さは、よく知っています。会場のメインが栄や伏見などの中心地ですが、蒸し暑いので、人々は地下に逃げ込むか、車に乗ってエアコンをきかせているわけで、とても、野外イベントなどやる気になりません。

でも、そんなに暑くても、プールならば、入ってもいいかも、とは思うわけです。で、プールでの音楽会をやる方針です。昨年の銭湯での音楽会に味をしめたのと、最近プールに泳ぎに行って、発見もあったので。

福岡トリエンナーレでは、交流プログラムだったので、出演者も公募したりしましたが、愛知トリエンナーレは、できるだけ完成している作品を見せたいという趣旨らしいので、出演者もプロの音楽家でやろうということになりました。ということで、打楽器アンサンブルみたいな音楽会を、プールでやる、というプランです。会場として可能性のあるプールを探してもらっています。

10年後とか20年後とかに、このトリエンナーレが継続していたら、ぼくが芸術監督の依頼をされる可能性もあるかもしれませんが、そうなった時に、ぼくは、どうするのだろう?

名古屋というのは、独特の文化を育んでいるのですが、名古屋人自身がそのことに全く気づいていない。そして、外部からアーティストが来て作品を発表しても、名古屋人から良いレスポンスも得られず、名古屋はノリが悪い/やりにくい、とアーティストから敬遠されがちだったりする。でも、ぼくは知っているのです。名古屋の独特な面を、ダメな面も良い面も。リサイクルという言葉が使われるはるか以前から、廃品回収が盛んだったり、借金をしない堅実さだったり、スポーツ新聞(中日スポーツ)を宅配にしている家が異常に多かったり、喫茶店でコーヒーを頼んだら、お菓子もついてきたり。そういったところでしかあり得ない芸術祭を、ぼくが芸術監督になったらやろう、と思った。