野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

学校に新しい風を

学校に新しい風をというタイトルのブログをやっている小学校の先生糸井登(いといすすむ)さんと映像会社の方々と打ち合わせ。

なんでも、糸井さんが監修で、アーティストのワークショップをDVD化して、教師の教材ネタとして販売する、ということらしい。

話しを聞いていると、こういうことだった。

とにかく学校現場は大変で、子どもたちは仲良くなって欲しいのに、どんどん人間関係は難しくなり、授業は楽しんで欲しいのに、どんどん子どもたちは算数や色んな科目が嫌いになっていく。

野村さんが学校に来て音楽をすると、普段の授業では、難しい子どもたちが輝き始めたりする。ある時、野村さんが来たら、非常に扱いの難しい子どもばかりが野村さんのグループに率先していってしまい、正直、大丈夫かな、と心配した。ところが、そのグループは、素晴らしい作品を仕上げてきて、驚いた。野村さんは、「だって、ぼくのチーム、すごいいい子ばっかり集まったから」と答えた。アートは専門ではないから分からないけど、子どもを見ていると、子どもが変わる。野村さんのワークショップを経て、子どもたちが仲良くなっていくことに、驚きを感じた。

また、野村さんがワークショップに来た後に、別に音楽が得意でない子が、アンケートに音楽家になりたい、と書いた。その子が音楽家になれるかどうか、ではなく、なりたいと思ったこと、音楽が好きだと思えたことが重要。授業をやっていって、音楽が嫌いな子どもが増えるのではなく、子どもたちに音楽が好きになって欲しい
つまり、糸井さんが考える要点は、1)仲良くなること、2)好きになること、であって、どういう音楽をするか、には、全くウエイトがない。でも、これは面白いポイントで、仲良くならなければ、よいアンサンブルはできないし、好きでなければ、よい音は出せないだろう。この二つのポイントは、教育的な観点だけじゃなくって、プロの音楽家にとっても(ダンサーや俳優でもそうだ)、当たり前すぎるけれど、常に意識しておくべき点だと思う。

では、どういうDVDを作りたいのかを、単刀直入に糸井さんに聞いた。糸井さんの言葉は、

教室で
手軽にできる
音楽が得意じゃなくてもできる
みんなが仲良くなる
音楽ゲーム

とのことだった。水戸芸術館のワークショップで生まれた「げんしじん」、和楽器グループ「糸」のために書いた「つん、こいつめ」、ピアノ協奏曲「だるまさん作曲中」の第1楽章「だるまさんがころんだ」、などなど、自分の作品の中から、音楽ゲームを集めてみて、このDVDに入れてみようと思う。


糸井さんのブログ、学校に新しい風を
http://susumu.exblog.jp/7735708/