野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

青山ブックセンターでの共同作曲についてのレクチャー

青山ブックセンターのHMV渋谷店でのレクチャー。「本屋の学校、音楽の時間」。今日は共同作曲についてレクチャーしました。

そもそも、1998年に、パリで行われた「どないやねん 現代日本の創造力」という展覧会に参加して、ぼくは展覧会場で、「野村誠作曲中」というパフォーマンスを1ヶ月半ほどやっていました。その時、たまたま日本から出張にやって来ていた青山ブックセンターの須藤さんと出会ったのです。そこでの出会いがきっかけで、ペヨトル工房から「路上日記」というCDブックを出した時にも、青山ブックセンターでイベントをやってもらいました。だから、今日のこのイベントがあるのも、たまたまパリで声をかけてもらったおかげです。

90分程度の予定のレクチャーでしたが、90分たったところで質問を受け付けたら、2時間半近くになりました。

音源では、「はないちもんめ」、しょうぎ作曲「ころんでない」、しょうぎ交響曲、鶴岡政男さんの絵を音にするワークショップ、など紹介。

話した内容は、「はないちもんめ」から始まり、イギリスに1年住んだ時の話(イギリスの音楽教育の話など)、しょうぎ作曲により見方がどう変わったかということ、inventionとarrangementの話(しょうぎ交響曲)、ジャンルの話、複数の価値観の共存、音楽という概念の拡大、作曲とアレンジと著作権、などなど、多岐に渡りました。

どうも、5年ごとくらいに転機が来るみたいで、1989年の初の共同作曲「はないちもんめ」、1994年〜95年のイギリス滞在、1999年考案の「しょうぎ作曲」というのが、考え方の大転換が起こった事件のようです。

そのパターンでいくと、さらに5年後の2004年ごろにも転機があっていいはずです。エイブルアート・オンステージが始まったのが2004年、ホエールトーン・オペラを始めたのも2004年です。音楽が演劇であり、演劇が音楽である「演劇交響曲」について思考し始めたのが、この時期になるわけです。

客席には、田中吉史さん、渋谷慶一郎さんなどの作曲家の姿も見かけましたが、顔を見知っている人はほとんどいませんでした。「共同作曲」についての書店でのレクチャーを聴きに来る人って、どんな人たちだろうと思いましたが、なんだか、今日のお客さんを、ぼくはすごく好きでした。皆さん熱心に2時間半のトークにお付き合いいただきました。

音楽についての話を聴くと、音楽が聴きたくなるのか、CDがよく売れていました。逆に、話を十分聴いた後は、言葉は十分なのか、本はあまり売れていないようでした。

今日はあまり触れませんでしたが、こんな本もあります。ぜひ、読んでくださいね。

老人ホームに音楽がひびく?作曲家になったお年寄り

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トークをしながら、自分の考えが少しずつ整理されてくるところがあって、こうやって話す機会をもらえて、大変感謝です。ぼく、人前で話すの好きなので、また、こういう企画に誘われたいです。