野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

ザコのリハーサル

いよいよ本番まで、あと2日。白井剛くんとの公演のリハーサル。各シーンは、音楽でありダンスで、ダンスであり音楽です。ほとんどのシーンが、楽器を演奏したり声を出しているシーンなのですが、見て楽しく、振付家が演奏する身体をいろいろなアプローチで見せています。

そんな中、ぼくと白井君のサイレントコンダクターは、二人で同じ曲を心の中で演奏しながら、指揮をします。指揮の動きがだんだんメロディーのリズムで動くようになります。無音でありながら、同じ音楽を別の身体でユニゾンで演奏するのです。音を出さずに、相手の動きも見ずに、気配だけでユニゾンのリズムで動く。これは、なかなか難しいけれど、面白い。

フィジカルピアニストは、振付は完全に体に入ったので、あとは、同じ振付でどれだけ多彩な音色をピアノから引き出せるか、どれだけ音楽を豊かにできるかが課題です。振付は決まっていますが、音は一音として決まっていません。ですから、毎回の演奏は即興です。振付が完全に決まっている中で、毎回即興で演奏すると、前にうまくいった演奏をなぞりたくなりますが、あくまで毎回新鮮な気持ちで演奏を作っていきたい。