野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

さいたま子ども劇場の台本づくり

今日はワークショップの3日目。2時にワークショップが始まって、3時半から親向けに発表会をします。逆算すると、3時から一度はリハーサルをしたい。そう考えると、3時までに全部の曲の作曲を終わらせたい。つまり、作曲にあてられる時間は、残り1時間しかありません。

ということで、まずは、台本を書いてしまうことにしました。ザウルスとお昼ご飯を食べながら、だ〜〜っとまとめる。ザウルスによると、子どもたちの作った話は、以下のようだとのことでした。

顔が100メートルで体が1ミリの男の子は、バランスが悪くて、かけっこで転んでしまう。顔やせダイエットをしてもやせない。ごはんをいっぱい食べて体を大きくしようとしたけれど、ダメ。そこで、願いを叶える幻のお米を探しに冒険に行きます。冒険をして、ついに幻のお米を手に入れて、食べると、顔が1ミリで体が100メートルになってしまいましたとさ、おしまい。

ということで、今まで作った4曲のうち、「顔のテーマ」は、冒頭と終わりに入れられます。問題は、「カメラ」、「うぜーんだよ」、「りす・うさぎ」の3曲です。これは、全部、冒険の道中に入れるしかありません。

そこで、幻のお米は、ベトナムの部屋にあって、おこりんぼうのおやじが管理していることにしました。これで「うぜーんだよ」が歌えます。幻の米がベトナムの部屋にあることは、カメラの国で分かったことにしました。なぜなら、カメラの国には、世界中の写真があるから。ということで、「カメラ」の曲も使えた。で、残るが「りす・うさぎ」です。

「りす・うさぎ」の歌は、女の子たちが男の子の歌をひっくり返して無効にさせるような歌が作りたい、という動機で作った歌です。そのコンセプトをそのまま反映させて、おこりんぼうのおやじが、罵り言葉で歌っているのに、「りす・うさぎ」の歌を聴いたら、楽しそうに踊りだして、温和になった、ということにしました。

面白いことに、「うぜーんだよ」という歌には、「やだ!」とか「きもい」とか、他者を罵る言葉があります。これは、自分についての歌ではなく、他者についての歌です。他者とのコミュニケーションの歌と言えます。あくまで、相手に対して、興味を示し、(罵るという方法ですが)コミュニケーションをとっています。

ところが、女の子の歌は、他者とのコミュニケーションではありません。りす、うさぎ・・・・、と羅列した上に、最後に「みんな私の好きな物」と言います。興味が自分に向くのです。一度、自分に関心を向けてみることを、女の子たちは解決法として選んだ、そこが面白いと思いました。

ということで、台本を整理したところ、「かけっこ」、「悲しみの歌」、「顔やせダイエット」、「ごはん」の4曲を追加すれば、発表会で全部を上演できると判断。ワークショップの最初の30分で、男子2曲、女子2曲を作ることにしました。また、男子は野村と2曲作っていますが、女子はザウルスと1曲作ったけど、野村と一緒に歌を作っていないので、女子にも野村ワークショップを味わって欲しいので、男子はザウルスと、女子は野村と作ることにしました。

で、台本をザウルスに清書してもらっていたのですが、手書きより活字の方が決定台本という雰囲気が出るなぁと思い、そのままインターネットカフェに飛び込み、台本を打ちました。

これで3時半の上演は大丈夫だろう、とにかく、一刻も早く会場に着いて、台本と楽譜をコピーしてもらおうと、与野本町を目指しました。