野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

今日も練習

明日の関西鍵ハモナイトに向けて、今日も練習。
田中吉史作曲の「うろおぼえの旋律とコラール」(2007)、近藤浩平作曲「鍵盤ハーモニカ3重奏の為の小品集」1吹き流し、2木の影の踊る午後、3カスピ海の海水浴場(2006)、鶴見幸代作曲「おほほ」(2006)という鍵盤ハーモニカ3重奏のための新しい作品を演奏します。この3作品、いずれも野村誠の委嘱で書き下ろしてもらった新曲で、3作品とも全くタイプの違った作品で、いずれも素晴らしい。

田中作品は、「うろおぼえの」というタイトルが示すように、短い旋律の断片が3人の奏者に少しずつ違った形で浮かび上がり、重なり合い、消えていきながら、音楽が少しずつ進んでいきます。ヘテロフォニーのリズミカルな曲ですが、曲の終わりごろには、いつの間にかコラールのような感じになりつつ終わっていきます。でも、曲の最初と最後のロングトーンが実は同じ音で、円還構造になっている。

近藤作品は、3つの小品で、それぞれが違った旋法を基調としていて、吹き流しはドリア風の美しく流れるような曲、木の影はミクソリディア風の軽快な曲、カスピ海はペルシア風に時々ロシア風がミックスされた不思議なコラージュ。

鶴見作品は、「おほほ」とか「ほほほほほ」と笑っているリズムをモチーフにしたとってもかわいい作品で、赤羽美希が演奏するたびに、「かわいい」と絶句してました。

こうした作品を演奏できるぼくたちは、全く幸せ者ですし、こうした優れた作曲家が曲を寄せてくれるのも、嬉しい限りです。