野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

観客参加型

ロンドンを出発。本日帰国のしばさんと別れて、早朝8:05の電車に乗って、リーズ経由で、ブラッドフォードに着く。駅で待ち合わせのクリシーと会う。クリシーはミュージシャンで、声の表現を追求していて、アメリカに行ってメレディス・モンクのところに弟子入りしたり、インドに住んでインドの声楽の勉強をしたりしていて、ホエールトーン・オペラにも参加。現在は、ブラッドフォードの3つの小学校が、音楽を通して交流するプロジェクトをしていて、特に、ブラッドフォードは、多国籍、多民族で、その辺での難しさを音楽で乗り越えようというプロジェクトで、Bridge Projectというらしい。ただし、今日連れて行ってもらった学校は、白人の子どもばっかりの学校だった。

午前中はYear6(9〜10歳)のクラス。P-ブロッの曲を何曲か聴いてもらい、その後、日本語を教えたり、盆踊りの真似事したりして、グループごと日本風の掛け声による踊りと掛け声を作っておしまい。

午後は、year1(5〜6歳)2クラス合同。つまり50人の幼児。P-ブロッの曲を聴いてもらおうと鈴木潤作曲の「本日の散歩」を演奏し始めたら、子どもたちはゲラゲラ笑い始めた。何がそんなにおかしいのか全然分からないけど、すごく笑ってる。こんな演奏会初めて。「犬が行く」も演奏。

ワニバレエを教えたら、大興奮。この歌は、日本もイギリスも変わらず、バカウケです。

ぼくの「FとI」を演奏する時、子どもたちに「近くで聴いていいよ」と言ったら、30cmくらいの至近距離まで近づいてきて、そして、演奏が始まって5小節くらいたったら、曲に合わせて手拍子を始めた。この4声が複雑に入り組んでいる曲を演奏しているときに、すぐ目の前で5歳児がバラバラに手拍子を始めて、アンサンブルは超大変だけど、なんとか演奏。こんな状況は、この曲にとって初めて。

途中でルバートするところになっても、相変わらず手拍子は続く。しかも、手拍子は、かなり細かいビートで続く。すごい演奏会だった。

せっかくみんなが手拍子をしてくれたので、手拍子をみんなでやってみると、そのリズムに合わせて「ダーダダダー」とつぶやいた子どもがいたので、それを歌詞にして歌を作る。「ダーダダダー、こんにちわー」という歌。その後、この歌とワニバレエが合体。日本の子どもの歌とイギリスの子どもの歌が合体した瞬間。

平石博一作曲の「Up To DateⅡ」は、手拍子する子ども、踊る子ども、じっと聴く子ども、色んな聴き方に分かれた。これも、すごい至近距離に子どもたち。

最後に、「おやすみなさいコアラリス」。みんな床に寝転がって聴いてもらった。5歳児と1時間半、十分楽しみました。

その後、ハダスフィールドのボブ家に。ボブは、ホエールトーン・オペラにも参加。即興演劇をやっていて、ギターも演奏して、しかし、ウェブデザイナーでもあり、ホエールトーンのウェブサイトを作っている。この日、ボブの娘のリア(7歳)がパントマイムを見に行くというので、一緒に見に行った。パントマイムというのは、日本語のパントマイムとは全く意味の違うもので、クリスマスの時期だけやる芝居で、観客参加型の劇。子どもたちが「うしろ!」と叫んだり、随所に参加できるところがある。芝居の題材は「裸の王様」でした。