野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

P−ブロッいつの間にか10周年

いつの間にか10年で、その10年を回顧するドキュメンタリー的なコンサート。

江村夏樹さんの「へんばいの音楽」を演奏してみて、10年前に演奏した曲と同じなのだけど全く違った趣でびっくりしました。でも、演奏していると96年の初演時の光景を思い出すものです。平石博一さんの「手の記憶は耳に届く」は、1997年ごろにメトロノームを使って練習していたことを、思い出しながら演奏しました。「三つの断章」は、随分、みんなが遊んで演奏してたのが印象的。「ときめきワイド」のさわりを演奏に、片岡さんがなんちゃってアナウンサーをしてくれて、面白かったです。「2050年の農耕歌」は、同じ曲だけど、2006年版の演奏という感じが出て、グルーブが良かった。「いかにしてカレー」は、やはり2000年ごろのP−ブロッには必要だったけど、今は懐かしい気分がした。

ケージの「クアドリベ」のような4重奏は、最近の傾向です。今日は8人編成をやって、大人数のサウンドが新鮮だったので、4人というのは全く違う小編成だなぁ、と思います。今後、5人をベースに、3人のミニP−ブロッや8人のP−ブロッ・オーケストラを時々やっていきたい、と感じました。「Giant Steps」とか楽しいです。こういうジャズの作品は、もっとラフにやりたい気分。鈴木潤の「2音のバラード」は、名曲ですね。前は難しかったけど、これはレパートリーにしていけるな、と思いました。20世紀には、ほとんど曲を書いてくれなかった潤さんが、今世紀に入ってから、いっぱい曲を書いてくれています。しかも、どの曲もいいんですよ。野村誠「あたまがトンビ」は2年前の初演よりは断然いい演奏ができました。みんなが納得して音を出し始めた感じ。もっと良くなると思う。もっと狂った美しい音楽になると思う。吉森信「でみこのテーマ」では、加奈ちゃんが1年前よりもゆとりを持ってやっていて、「でみこの一生」を再演したい気分になってきました。しばてつ「5chサラウンドサウンドハイドン変奏曲」は、10年間のしばさんの作曲の集大成という感じで感無量でした。この曲もまたやりたいなぁ。イギリスでもやろう。

アンコールは、野村誠「神戸のホケット」久しぶりに8人でやりました。8人サウンドは面白いです。時々やりたいなと思います。また、時には8人の曲も書きたい。アンコールもう1曲来たけど、準備してないので、とっさに「この道」をやりました。やってるうちに、96年結成当時メンバーだった足立智美くんに飛び入りしてもらいボイスで即興で入ってもらい、片岡さんのサムライソロもやってもらって、終演。「この道」は、P−ブロッを結成する以前に鈴木潤さんと谷中の路上で演奏したことがある曲。96年から05年まで10年回顧して現代に来たのに、最後に結成前のところにもう一回帰ったのが、面白かった。

生みの親の野田茂則さんも来てくれたし、カノン工房の鈴木英生さんも来てくれたし、作曲家の三輪真弘さんがしばてつ作品を気に入っていたようでしたし、世田谷美術館の塚田美紀さんも来てくれてたし(犬のためのコンサートを実現させなくっちゃ)、鍵ハモナイトの坂本一孝さんも来てくれてた。坂本さんは、96年の結成ライブも見てくれているので、本当に10年間の節目をきちんと見てくれたのだなぁ・・・。

片岡祐介さんが刺激されたのか、2007年2月3日に門仲天井ホールマリンバコンサートをすると決意したのも、もう一つの収穫!!!