野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

あいのてMA

あいのて#5、#6のMA。

ペットボトルの回、コカコーラのペットボトルの音が、凄すぎてペットボトルの音だけじゃなくって、別の音を足したのでは、と勘違いされそうなくらいです。まあ、これはスタジオのいいスピーカーで聴くからで、テレビのスピーカーでボリューム小さく聴いたら、まあ、大した音じゃなくなるかもしれないけど。

片岡さんは、演技を頑張っています。今は、片岡さんの演技は、直接演奏と結びつかずに分離していることが、ほとんどです。なんちゃって役者とか、なんちゃってコメディアン、なんちゃって芸人、といった感じです。

ぼくは、この片岡さんの演技が音と結びついている部分を、番組で見せていきたいなぁ、と思っています。第1回の「コワーン・パッ」っというボウルの胸ミュート奏法は、片岡さんの発案です(番組の中では尾引さんが紹介しました)。これなどは、演じること(身体的な動き)と音楽が融合している例です。

ぼくらは、片岡さんという才能と彼の器用さのために、彼に演じることをたくさん課しています。そして、彼もそれを喜んで引き受けてくれています。しかし、これを無自覚に続けていくと、そのうち何しているんだか、分からなくなるような気がします。面白い動きで演奏する、そして、面白い動きをするからこそ、いい音が出る、そんなことを示唆する役割が片岡さんの役割になっていけば、「あいのて」に未来があるのでは、と思います。

ペットボトルの回の展開は、すごい変です。最初の曲では、ペットボトルによるヒップホップ調のビートに合わせて、片岡さんは怪しげな踊り(本人はラッパーのつもりらしい)を繰り広げますし、エイちゃんとルリアちゃんのシーンの最初は、ルリアちゃんの変なイントネーションは出てくるし、二人がアドリブで喋った台詞は何ぶつぶつ言っているか分からない上に、突然二人で笑い出すし。片岡さん演技して、ぼくが演技を強調する音楽を演奏するし。尾引さん呪文を唱えるし。そうやって始まったのに、その後、丁寧にペットボトルの音の響きを聴き比べていったりするし。

それから、石の回。こちらが、またまた凄い。この回は、石を使った曲が4曲入っているような感じです。冒頭は、ピアノ+石+石の曲、登場後、石のトリオの曲、さらに、音遊びの後半に、パーカッション+鍵盤ハーモニカ+石3人の曲、そして、メインメニューの石テクノ。伝えたい奏法も、石によるフィルター奏法一つに絞り込んで、シンプルになりました。言ってみれば、現在放送中のボディ・パーカッションの回を、ほっぺただけに限定して番組を作るようなフォーカスの仕方が実現できたわけです。

さらに、この石の回のエンディングでのルリアちゃんの活躍ぶりはすごいし、そのルリアちゃんに?マークの表情で応対しているエイちゃんの演技力も大したものです。

ということで、5,6作目にして、かなり番組のらしさができてきました。今までの中で、一番音のクオリティも高いです。

帰り道に、尾引さん、片岡さんと、「あいのてさん」の物語を作ろうと、話しました。あいのてさんは、普段は何をしているのか、3人の関係は?あいのてさんの過去は?あいのてさんの国は、どんなところ?などなど、考えようと。そこを、はっきりさせると、もっと演じやすくなるし、台本も書きやすくなるし、と思います。

とにかく、6月17日から放送のペットボトル、その2週間後から放送の石、お楽しみに!