野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

プレ公演2日目

プレ公演の2日目。1日目は、とにかく出演者を守ろうという気持ちが強かった。ぼくがムードメイカーになって、会場を走ったり、大げさな指揮をしたり、いろいろやって場の雰囲気を作りながら進めた。初日の舞台を踏んだ音楽家たちに、2日目はもっと委ねてもいいと思ったので、2日目は、もっと委ねてしまい、ぼくが走ったり暴れたりせずに、ぼくはより伴奏者に徹することにした。

大人のワークショップ参加者全員と野村とでデュオの即興演奏をして、それに合わせて倉品さん、絹川さんに即興芝居をしてもらったし。みんなが一人立ちしていくのは嬉しいですし、4月以降が楽しみです。

本番がどんどん即興で進むので、ぼくは予定ではすぐにぶつ切りにするところを、敢えて、続けてやってもらったりした。そうして、予定からはずれてしまったため、ヴァイオリンアカデミーの子どもを呼び入れるタイミングを逃し、ヴァイオリンの子どもの出番が大きく遅れてしまったこと。大反省

前日のアフタートークで観客参加型に関する要望があったので、冒頭に少しだけ観客参加の場面を作ってみました。全員で手をこする音を味わって、その音に合わせて、倉品さん、絹川さんにお芝居をしてもらいました。

開演前に、船迫中学校の吹奏楽部とヴァイオリンアカデミーの子ども、それに演劇チームから何人かが参加して、絹川さんの演劇ゲームのワークショップも体験した。こうやって仲良くなる作業が、音楽チームと演劇チームの間で、もっと早くから試みられればよかったなぁ、と思った。

本番前に、演劇チームのメンバーに「ほうこうざい」のピアノ伴奏をしてください、と言われて、弾くと、みんなすごく嬉しそうに歌ったり踊ったりしてくれて、なんだか本当にこちらが嬉しかったです。

それから、第2部の演劇ですが、1日目よりも圧倒的にみんなに気合が入っていました。気合が入っているから、台詞を間違えるというか、台本と違ってしまったりする。それだけ、気持ちを込めて言おうとした時に、本番でさらに練習以上のことをしようとする。これは、本当に大切なことです。たくさん練習を重ねるのは、本番で練習をなぞるためではありません!本番では本番の時の新たな感覚で演じるわけで、今日はなぞっているのではなく、自分たちがクリエイトした舞台だったのだと思います。それが、昨日の深夜1時までのミーティングで、いろんな気持ちを吐き出した効果なのかなぁ。やっぱり気の持ちようで、お客さんに伝わってくるのですね。ぼくも触発されて、演奏に気合が入るところがありました。

アフタートーク、記念撮影、打ち上げ、あっという間に時間がすぎていきました。アフタートークで、合唱団のメンバーの人が、参加したいと言ってくれたりしました。このプレ公演を見て、こういうのだったら参加したい、という人が現れてくれば、ひとまずプレ公演をやったことは大きな成功だな、と思います。

それにしても、倉品淳子さん、絹川友梨さんには、本当にお世話になりました。この二人に来てもらえて、本当によかったなぁ。

打ち上げで、みんなともっと話したかったけれど、1時間足らずでお別れ。打ち上げの席に生田さんの姿が見られなかったのが、残念でした。

最後、見送ってくれた参加者の人たちが「ほうこうざい」を歌ってくれたので、ぼくも鍵ハモで伴奏。この歌を聴いて、これをエンディングに使おうと言ったのは、生田さんだ。だから、彼は出てきた表現を全て却下するような人ではなく、これは面白い、こっちの方がいいじゃん、と方針を変更しながらできる人物ではあると思う。それが、役者たちとは、うまくコミュニケーションできなかったのかなぁ。

矢内原さんとぼくは新幹線の駅に向かった。矢内原さんが、車の窓から身を乗り出して手を振って、「ダンス続けてね」とか叫んでた。

矢内原さんとぼくは、どちらもヘトヘトで、一人だったら絶対に新幹線の中で寝ていただろうけど、結局、東京までノンストップで話し続けちゃった。演劇チームのこの2週間の出来事をずっと話してました。

そして、東京での日々が再開した。明日は、弦楽四重奏のリハ。全くの別世界に戻る。