野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

アートサーカス発送

弦楽四重奏曲第1番「アートサーカス」の譜面を発送しました。発送する前には、コピーをするわけですが、譜面が完成してから、いつコピーをするかのタイミングってあります。これで完成で送っちゃおう、という気分になったので、コピーをとって送りました。というのも、第1回目のリハーサルが2月19日で、初演が3月22日ですから、焦ってすぐ送る必要はなかったわけで。

どうせ送るならと、2月14日にメディアショップでやるイベントの時に、事前に予約してくれたお客さんに配られる特別おまけとして、2003年に7回に渡って毎日新聞に連載したコラムを送りました(残くん、島袋も用意しているものがあるようです)。このイベントは、ダンサーの山下残、美術家の島袋道浩と、音楽家野村誠の3人が、本屋さんで自分たちの好きな本の話を繰り広げながら、お互いのアート観、世界観を語るイベントで、大変楽しみです。

あと、たまっていた様々なメールの返事を一気に書きまくりました。40本メールを書いた。

こうやって、コピーして送ると、いよいよ「ズーラシア」に着手の気分になってきます。「ズーラシア」をどうするかで、ずっと躊躇しているのですが、それはなぜか。「アートサーカス」とどうしても比較してしまうのです。同じ路線でいくと、18人の子どもの素材vs6人の大人の素材で、数で負けてしまう。子どもの作ったものは、数も多いし、ちらばりも相当ちらばっている。もちろん、ワークショップに参加した大人6名は大変個性的で面白かったので、それだけを信じて普通に作ればいいじゃん、と思うのだけど、どうしても、「アートサーカス」の子どものパワーに負けそうな気がして、何か路線を変えようと思うのだけど、そうやって逃げていてはいけない気がしてきた。

「アートサーカス」のことを忘れて、「ズーラシア」でのワークショップででてきた素材から素直に発想して創るのが、一番いいはず。「アートサーカス」と比較して、それと違うようにしようなんて考えずに、そもそも6人の大人と、18人の子どもが全く違うのだから、どちらかと言えば、違う曲にしようとするより、似た曲にしようとした方が、かえって違いが浮き立つかもしれない。

だから、迷いを消して、「アートサーカス」と違った曲にしようなんて、全く考えずに、明日から「ズーラシア」に取り組みます。