野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

土人という言葉について

いつまで時差ぼけなのかなぁ。
まだまだ眠い。
晶文社の「老人ホームに音楽がひびく 作曲家になったお年寄り」の校正がほぼ終了。晶文社側から、お年寄りの言葉「こういう土人のリズムにもっていったら」の部分の「土人」を訂正して欲しいと、再度言われる。
差別用語とされていても、ここはお年寄りの語られた言葉をそのまま生かしたい、と考えていたが、出版社として差別用語の入っている本は出版できない、とのこと。原文そのままにして注釈をつけるなどを提案したが、話し合いの余地なしという感じだった。つまり、出版社としては、ぼくの言うことは理解できるが、そういう理屈に関係なく、差別用語と認められている言葉が印刷された本を世に出すこと自体ができない、ということだった。そういう気持ちも理解できる。
ぼくとしては、お年寄りの語った言葉を添削するようで、かなり抵抗があったが、本が出版できないのでは仕方がないので、そこだけ似た表現に言い換えることにした。
差別問題は難しい問題だ。土人という言葉は差別の意味を持たせず、土臭い感覚を持った尊敬をこめた言葉として美しい言葉として使える可能性を感じた。例えば、「片手落ち」という言葉は、とても使う気になれないが、「土人」というのは文脈によっては肯定的な意味も持ちえるのでは、と思うと、こういった言葉が消えていくのは、残念で仕方がない。

アコーディオンとピアノの曲は、ちょこちょこと数小節書いては、寝てしまうけど、なかなか愛らしい曲になりそうです。