野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

林加奈の誕生日

本日は、林加奈ちゃんの誕生日。お昼頃に生まれたらしい。それを祝って、まずはスイカソフトクリームをご馳走してから、碧水ホールへ。
ホールでは、菊地さんと市川さんが「押亀のエテュード」を練習していた。ぼくが初めて書いた箏曲(1997年)。一面の箏を二人で弾く曲で、右手にあたる部分(爪で弾く)を一人、左手にあたる部分(押し手やツキ色など)をもう一人が演奏する2人3脚的な曲。難曲なので、インテンポで演奏するのが大変だけど、二人はとても息が合っているので、今まで聴いたどの演奏よりも速いテンポで演奏してくれていて、音楽が軽快に流れていっていたし、細かいニュアンスも豊かだった。昔作った曲だし、もっとできが悪いかなと思っていたが、実際聴いてみたら、初めて書いた箏の曲の割に、意外に箏をつかんで作曲したんだな、と思った。ちなみに、この曲を書いた直前、片岡祐介さんに呼ばれて、岐阜県音楽療法研究所の長良川セミナーに講師に行った。初めて、音楽療法関係の人と接した時だった。あれから、8年。随分、時の流れを感じます。
さてさて、片岡さん、加奈ちゃん、野村(そして途中から柏木くん)と菊地さん、市川さんで箏の新曲づくりに取りかかる。柏木くんが市川さんを訪ねて7月上旬にアイディア出しをした時、数字が羅列してある譜面に感嘆。そこを発端に自動車のナンバープレートを読んだりして、それを音にしていく作業をしてきた。とにかく、それぞれの素材をドンドンアレンジして、一気に曲が膨れ上がっていって、かなり楽しい。今まで作ったどの箏曲とも全く違った曲になるし、味わい深いし、その場でどんどん生まれていく感覚が嬉しい。カナちゃんが「情けないフレーズを作る」に挑戦したら、どんどん作れた。情けないフレーズを作る名人だ。演劇だったら、3枚目を演じる名優というのはいるけど、音楽家で3枚目的な表現に向かっている人は少ないもの。加奈ちゃんの「情けないフレーズ」は、菊地さんにとっても初挑戦だったらしい。
夜のワークショップでは、スケボーみたいなキャスター付きミニ台車に乗せた楽器を、床を滑らせながら演奏するのが、時に麻雀のパイをかき混ぜているようになりながら偶然の響きを作っていたし、その後は、スレンドロに調絃した箏がガムランの市居さんのテーマに合わせて、うまく響いた。最初は、箏の音は全然聴こえなかったけど、箏が聞こえるように全員が音量を落としたら、全体が本当に美しく響きだした。
昨日作った碧水ホールの歌も、よくガムランとも合った。
柏木くんは、その迫力から、子どもたちに恐れられ、「鬼」になった。鬼に負けないように、時々「鬼さん、苦手なものは何?」と質問されたりして、「勉強」とか答えて、鬼に勝つために算数の問題を作ることになった。ここで、この算数の問題を、数字譜としてガムランで演奏できると期待していたら、6年生のモエに頼んだので文章題になってしまって、ガムランにならなかった。
カナちゃんの誕生日パーティーはファミレスで、ケーキを食べ、かき氷を食べ、盛大に行われた。おめでとう!