野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

ホエールトーン・オペラ@Dartington College

Dartington Collegeで、ホエールトーン・オペラ第3幕のワークショップ。

今回は作曲するワークショップではなくって、既に作曲された曲をアレンジして演じるワークショップです。
音楽学部の新入生35人全員とのワークショップ。

朝10:00〜16:00まで。
ヒュー・ナンキヴェルと二人でやりました。

かなり面白かったです。

Bruce Coleに会う

ヨーク大学でコミュニティ・ミュージックを教えている作曲家のBruce Coleと会いました。
大学院のセミナーなど、時間があったら覗きに来るの大歓迎とのことだったので、顔を出すことでしょう。

刑務所でのワークショップなどもやっていたり、ヘロイン中毒の人との音楽活動、身体障害の人とサウンドビームを使ったワークショップなどやっているようです。
大学院生のこれまでの修士論文なども見せてもらいましたが、音楽そのものより、音楽がコミュニティにどう影響するか、という内容が多いな、と思ったりしました。
音楽療法の分野でも、Music-centered music therapy(音楽を中心にした音楽療法)というナンセンスな言葉を聞いて驚きましたが、Music-centered community musicという言葉も、一瞬頭をよぎりました。

夜は、ヨーク大学の大学院生たちとパーティー

北九州の打ち合わせ

北九州の劇場の澤藤歩さんとワークショップコーディネーターの吉野さつきさんと打ち合わせ。
11月18日に、北九州でワークショップします。
参加者は一般公募しているようです。
ぼくの前の回が山下残くんで、ぼくのあとに柏木陽くんがやるようです。
楽しみです。

せっかく北九州に行くし、飛行機嫌いの野村としては、陸路で帰りたいので、
その帰り道に、
11月19日に山口、
11月21日に広島、
でライブをやります。
11月22日は、大阪(新大阪のココルーム)
11月23日には、滋賀県のスティマーザール

と11月のライブ4連発を計画中です。鍵ハモのソロやピアノのソロをやります。

野村誠の旅する音楽〜新大阪と新世界

大阪大学コミュニケーションセンターのワークショップルームを訪ね、哲学カフェの本間直樹さんを訪ねました。大学内で唯一、靴を脱いであがるスペースらしい。

新大阪に移動。ココルーム主催の野村誠の旅する音楽の2回目は、司会の上田かなよさんにイギリスのことを尋ねられて、94−95年のイギリス滞在のことを中心に話し、神戸のためのコンサートを振り返りながらピアノを演奏するのと、イギリスのベルリンギングを思い出しながらピアノを演奏しました。

ワークショップでは、トーンチャイムがあったので、イギリスのベルリンギング風のことをやってみたら、相当きれいでした。
それから、イギリスということで、ヒューの「ヤギの音楽」を2回やってみました。
「ヤギの音楽」の逆をやりたい、という声もあって、先にどんなヤギかについて語って、それから、即興をしてみました。
その後、友達に会いにいくヤギの歌を作り、昨年いずみホールで作った「ヤギふんじゃった」を聞いてもらって、おしまい。
イギリスについては、語りたいことや、やってみたいことが色々ありすぎて、短い時間では紹介しきれないです。
また、秋に来るのが楽しみです。次回は11月22日です。

それから、新世界のココルームへ移動。商店街の中のいいお店。ここでは、何度も「ズーラシアの音楽」を上映しているらしく、「あ、野村誠さん。本物や!」「アリクイの見てます」と声がかかり、びっくり。あのDVDを見て、天王寺動物園にハーモニカを持っていったおっちゃんがいたとか。うれしい。

それから、最近、釜ヶ崎で大きな暴動があって、機動隊が何百人も来たりしたそうで、でも、あまりマスコミに取り上げられてないそうです。上田かなよと深夜まで話し込みました。

いいカモ、鍵ハモ2日目@水戸芸術館

水戸での鍵ハモの作曲ワークショップの2日目。

今回のワークショップの目的ですが、ホール側の意図としては、鍵ハモや作曲の(さらに言えば、音楽の)魅力を参加者に体感してもらうことがあると思います。

でも、ぼくとしての一番の目的は、「作曲すること」です。では、どんな曲を作るのか。9月21日のコンサートで、お客さんに喜んでもらうことは、もちろんです。でも、様々な場面で何度も再演される作品を作曲すること。これが、大きな目標です。

これまでにワークショップを経て誕生して、何度も再演されている曲が、いくつもあります。コンサートピースでは「オルガンスープ」、即興性の高いゲーム的な作品では「手拍子のロンド」、歌の曲では、「体重へらそう」、「ワニバレエ」、「ヤギふんじゃった」など。ワークショップで作曲した作品は、基本的に将来的には、何らかの形で出版していき、流通していく仕組みを作りたいと思っています。

で、今日は、ワークショップの2日目。

13:00−15:00 鍵ハモビッグバンド
最初に、アシスタントの3人と、野村誠作曲の「FとI」を演奏して聴いてもらう。続いて、昨日やった「白い鍵盤でスタッカート、黒い鍵盤でロングトーン」をやってみる。昨日よりもリズム感がよく、しかも、ロングトーンがとても美しく響いた。あまりにも美しかったので、水戸芸術館は、ステージの後ろ側にも上から見下ろす形の客席があるので、みんなでそこに行って、やってもらった。すると、これが、上から音が降り注ぐみたいで、相当、気持ちいい。スタッカートの時は、座らないと演奏できないらしく、座って演奏すると、ロングトーンになった途端に、みんなの顔がニョキニョキと出てくるみたいで面白い。
曲のエンディングをどうすればいいか、も色々な意見が出た。「何か、変わった音を出そう。例えば、一番低い音と、一番高い音を同時に鳴らすとか。」という案は、やってみると、面白い。たいていの人は、最低音がFで、最高音がCなので、終止和音に聞こえる。これを、リーダーが楽器を膝に置いて座ると、次々にやっては座っていく。なかなか、いい響きでした。この曲は、「震源地」という遊びをもとにしているので、タイトルは「しんげんち」にしようという案があったけど、並び替えて、「げんしじん」となりました。

続いて、「トッテットッテッ、トレトレトッ」の曲は、昨日よりも演奏がやはりよくなって、「ポテチ〜8周音楽」という曲になった。

その後、デンマークのカール・ベルグストローエム=ニールセンが送ってきた写真を題材に、3グループで作曲。写真に、色んな色があるから、「いろいろいろ〜〜〜」と演奏する。「くるま」が写っているから、「くるま」を逆から読んで「まるく」。「まるく」だけど、「さんかく」に演奏。まるく、まるく、と3拍子に演奏するけど、三角だから、白鍵→黒鍵→白鍵と演奏するか、黒鍵→白鍵→黒鍵と演奏する。消防車と救急車が写っているが、消防車は赤で、救急車は白だから、救急車は白鍵、消防車は黒鍵で、ピーポーと演奏する。でも、消防車にはホースがあるけど、救急車にはホースがないから、救急車ではホースをはずして演奏する(つまり音は鳴らない)。
などなど、色んなアイディアは出ました。

こうしたアイディアを、一つずつカードに書いて、ステージ上の色んな場所に配置させて、そこに行ったらそれを演奏する、というような曲になりそうです。せっかくなので、カールにこの内容をメールして、彼のアイディアを曲に盛り込んでみたいものです。

続いて、
15:30−17:30は、鍵ハモ交響楽団
こちらでも、「FとI」を聴いてもらった後、昨日作ったメロディーにコードとベースのパートを書き足した譜面を作り、表音階と裏音階でのアドリブ入りでのバージョンを、アシスタントの3人+野村で演奏したのを聴いてもらいました。そして、ここから練習の時間が始まります。かなり、濃密な練習をして、最後に、表音階と裏音階のところでやるパッセージを、リズムだけ決めてやることにして、4小節のリズムを作りました。ちょっと「なんちゃってピアソラ」です。かなりいい曲です。

名曲になってきました。次回のワークショップでは、さらに、アレンジを進めていきたいです。

というわけで、9月21日は、水戸芸術館でコンサート。P−ブロッも出演します。「神戸のホケット」8人版も久しぶりに演奏します。

いいカモ、鍵ハモ@水戸芸術館

水戸芸術館に来ました。アシスタントには、即興からめーる団の赤羽美希さん(=ザウルス)、正木恵子さん(=まさき)、と二人の友人の渡辺達弘くん(=ボブ)。この3人とは、11月16日に鍵ハモのコンサートをします。それに向けても、アシスタントに来てもらいました。

ホール側の要望では、ワークショップは1種類やればよかったのですが、こちらの希望で、わざわざ2つの別の講座を開講しました。

13:00−15:00 鍵ハモビッグバンド(直感音楽チーム)
15:30−17:30 鍵ハモ交響楽団(本格音楽チーム)

です。要するに、前半は5線の楽譜を使わない前提。後半は、5線を使って音楽がやりたい人向け。

鍵ハモビッグバンドでは、まず野村誠の鍵ハモソロを聴いてもらった後、ザウルス、まさき、ボブのトリオで、ザウルス作曲「IWKKN」と鶴見幸代作曲「おほほ」を演奏。「IWKKN」は変拍子のミニマルミュージックで、演奏が難しい曲ですが、3人は息が合っていて、よかったです。客席がほとんど空席のコンサートホールでは、残響が多すぎて、リズムがややぼけて、響きが主体になるので、もう少し響きの少ないところで聴きたい感じ。

その後、全員でまずは音を出してみる。なんとなくロングトーン。これがきれい。全員白鍵でロングトーン、これもきれい。全員、黒鍵でロングトーン、これもきれい。白と黒を合図で切り替わる遊びに。「震源地」というゲームを、子どもが提案したので、これをやってみた。これ、震源地をあてるのは難しい。難しいので、白鍵では、スタッカートでビートを、黒鍵では、ロングトーンで演奏することに。こうすることで、少し、変化がわかりやすくなった。そしたら、白鍵のビートをやっているうちに、「トッテッ、トッテッ、トレトレトッ」というリズムをやっている子がいた。そこで、このリズムを採用して、全員でやってみる。全員でやって、一人がやって、と交互にやってみた。これがなかなかいい。全員でやって、二人でやってみる、というのもやってみた。これは、もう一段むずかしい。

その後、3グループに分かれて活動。
ボブチームは、「おべんとう、まだか、はらへった」というリズムの曲。この言葉を全員で言うと合うのに、これを楽器でやると、バラバラになりそうで、複雑なポリリズムになるところが面白い。
ザウルスチームは、かなり渋い曲。「パス、パス、パス、パス、いろいろいろいろ、どーもないー」と演奏しているらしい。
まさきチームは、猫が鍵盤の上を歩いて行って、転んで、踏まれて、怒って、というようなストーリーがあって、それを鍵盤上の演奏で実現した。

明日ですが、せっかくなので、短いアイディアをいっぱい出していきたい。それと、カールから送られてきたビジュアルも使おうと思っています。

続いて、鍵ハモ交響楽団
最初は、ぼくの鍵ハモソロを聴いてもらい、まさき、ボブ、ザウルスのトリオで、田中吉史作曲「うろおぼえの旋律とコラール」と近藤浩平作曲「鍵盤ハーモニカ3重奏のための小品集」を演奏。
それから、いろいろな奏法の紹介。全員で、鍵盤をカタカタたたきながら、息を入れたり入れなかったりするのをやって、これを指揮してみる。なかなかいい。
その後、半音階の12音から、一音ずつ減らしていって、6つ音を抜いて、音階を作った。すると、ド、レ、レ#、ファ、ソ、ラ#という6音に。あ、これって、ド、レ、♭ミ、ファ、ソ、♭シで、予想外に普通の音階になる。
で、このモードを使って、メロディーを作曲。一人一音ずつ言ってもらっていって、2小節のメロディーを作り、その後、3グループに分かれて、それぞれ2小節ずつメロディーを作って、計8小節のメロディーを作った。これが、かなりいいメロディー。カノンでやってもいいし、コードをつけてみても、なかなかいい。

ということで、明日も、この続きをやります。
この音階から省かれた6音だけを使うと、別の音階になる(#ド、ミ、#ファ、#ソ、ラ、シ)。こっちの音階も、ほぼ同じ響きなので、転調も面白そう。この二つの音階を行き来するアドリブもできそうだ。

時差ぼけで大変でしたが、睡魔の中、なんとか22時すぎまで起きていて、熟睡。これで、時差ぼけ解消できたかな。
明日は、体調ばっちりのはずです。

1月にヒューが来る

イギリスの作曲家のHugh Nankivell(ヒュー・ナンキヴェル)が、2009年1月に日本に来ます。で、1月6日〜13日あたりの日程は、まだフレキシブルなので、この期間に、ヒューにワークショップをして欲しいとか、何か一緒にライブしたい、などのご提案がありましたら、募集中ですので、ぜひ、どうぞ。

あいのてさんとのジョイントもやってみたいですね。