野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

東京新聞に記事が載りましたーー

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東京新聞に記事が載りました。

 

日本センチュリー交響楽団のワークショップ・ハンドブックの原稿執筆。結びの言葉を書く。

 

その後は、久しぶりに「Beethoven 250」の作曲作業。先週は、譜面を書く合間に、時々ピアノを弾いていたが、今日は、ピアノを弾かずに譜面を書く。〆切間際だったりすると、譜面を書き続けるので、ピアノなど弾かなくなるが、先週は時間にゆとりがあったので、ピアノをよく弾いていた。でも、今日はピアノを触らずに譜面を書く。ピアノを触らない方が、譜面に集中できて良い。

 

昨年の春に作曲した「十和田十景」というピアノ曲のタイトルは、北斎の「琉球八景」や「富嶽百景」を連想するタイトルなのだが、あまりにも古風で、この曲の背景を十分説明しきれてしないのでは、と思い、「十和田十景 〜まちのピアノをアーカイブする #1」とすることにした。そして、「まちのピアノをアーカイブする」プロジェクトを続けていきたい、と思う。

 

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シェーンベルクは、だじゃれ音楽家だった

「千住の1010人 in 2020年」開催に向けての企画説明会の第2弾。本日は、台東区役所にて。

 

とにかく、この企画、結構、要素が多い。だいたい概要としては、こんな感じ。

 

千住スポーツ公園で1010人で演奏するのがフィナーレ

5月31日の1日限定イベント

街中各所で、移動型パレードあり

電車の車内で演奏して移動するチームあり

船上で演奏しながら隅田川を北上してくるチームあり

インドネシアとタイの作曲家も登場

楽器だけでなく、1010人全員で石を演奏したりもする

巨大な人形が指揮者となって演奏するシーンもある

五線の楽譜がある曲もあり、五線が読めなくても参加できる曲もある

あらゆる楽器で参加できる、楽器でないものも参加できる

事前の練習に参加して演奏するコアメンバーもいる

当日いきなり来て演奏に加わるお気楽コースもある

 

このことを、いかに伝えていくかが課題。

 

今日のイベントは盛況。そして、その後、映像記録をお願いする甲斐田さんとの打ち合わせ。そして、事務局との今後の広報に関する打ち合わせ。

 

京都へ帰り新幹線で、Malcolm MacDonald著「Schoenberg」を読了。シェーンベルクという多彩な音楽家について、そんなに知らなかったことを思い知らされた好著。12音技法の創始者で、小難しい作曲家のように誤解されがちだが、ヘンデルを題材にした調性の曲があったり、フリクニフリクラの編曲があったり、コミックオペラもあり、クリスマスソングのアレンジもあり、なんでもある。そして、大変重要なことは、だじゃれが大好きで、冗談が大好きな人で笑いがいっぱいだったと91ページに書かれていたこと。

 

And there was plenty of laughter in his classes. Schoenberg was a natural clown. His stream of jokes and puns good and bad, his epigrams and apothegms, his flights of fancy, were accompanied by a repertoire of facial expressions andnbody-language which Newlin found impossible to convey but which she assures us was an inevitable part of Schoenberg eperience.  (MacDonald, Malcolm  Schoenberg p.91)

 

 

 

 

ボロボロボレロ!ワンダフル!

「千住の1010人 in 2020年」の開催が、5月31日に迫っている。そして、1010人の出演者を大募集中。本日は、すみだリバーサイドホール にて、企画説明会。野村の新曲《帰ってきた千住の1010人》(2020)の10シーンについても詳細に説明。

 

1 ボロボロボレロ!ワンダフル!

2 ファンファーレ騒動

3 空耳ソーラン

4 どの方角 その方角

5 ケロリン

6 フォト グー ラファー

7 水分ホキュー&なわとビート

8 だじゃれの村祭り

9 ドミノだおシ

10   寿式サンバ奏+け茶+やっちゃいタイ

 

エピローグ 1005花火とカエル舞

 

最後には、「ボロボロボレロ!ワンダフル!」も試演してみた。本当に楽しみ。

 

 午後、すみゆめの萩原さん、岡田さんと打ち合わせ。2010年に北斎生誕250年に作ってアサヒアートスクエア(浅草)で世界初演した「北斎漫画四重奏」は、2011年に北斎ホール(小布施)、2012年にアサヒビールロビー(浅草)、2014年にクアラルンプールで公演後、5年間再演の機会がなかったが、2020年は生誕260年を祝して、浅草で開催するべく打ち合わせ。新曲もつくりたい!

 

 その後、2月に洗足学園音楽大学で行う講義の打ち合わせ。洗足学園の先生でピアニストの大類智美さんとの打ち合わせ。ヴィオラ奏者の大嶋さんも合流し、いろいろ質問攻めにあい、楽しく打ち合わせる。講義の内容は、その日に学生と合わないとわからない部分も多いけれども、野村の演奏、動画で活動紹介、野村のお話、学生たちとのディスカッション、学生たちと一緒に音楽する、という内容を、全部90分の中で実現できればよい。

 

その後、ホテルで休んでのち、センチュリー響のワークショップハンドブックのための原稿執筆作業。本日は4章の参加者との関わり方のエピソードを3つ書いた。

 

 

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千住の1010人 企画説明会前夜

阪神淡路大震災から25年。いつの間にか25年。

 

東京へ移動。

 

「千住の1010人 in 2020年」に向けての打ち合わせ。5月31日の開催に向けて、残り4ヶ月半。水上バス2台の予約も確定。電車の貸切も予定。道や河川敷や公園も使う予定。インドネシアやタイからも構想が届く。

 

長時間の打ち合わせのため、おやつタイムを挟む。明日の説明会は、事務局の新メンバーである西川さんと進めるので、その綿密な打ち合わせもした。

 

そして、ホテルにて、日本センチュリー交響楽団のワークショップ・ハンドブックの原稿執筆。

 

1年前に公開された2014年の「千住の1010人」の動画も、ようやく再生回数が1010回に達する気配。

 

 

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パラサイト 半地下の家族

明日から東京遠征だが、本日は休日。美術展などに出かけようと思ったが、急に思いついて、家の片付けなどが少し進展し、引越しの段ボールが消滅し、棚が移動し、家の快適度が増す。BGMにポーランドクラクフのクレズマーバンドが演奏するジョン・ゾーンのCDをかけると、アコーディオンの音色が鳴り響く。ああ、今、作曲中の「Beethoven 250」は、アコーディオンとピアノの曲だったなぁ。アコーディオンの魅力をいろいろ再確認。ベートーヴェンが生まれたのは、1770年だが、ベートーヴェンが死んだのが1827年デミアンアコーディオンの特許を申請したのが1829年らしいので、ベートーヴェンが亡くなった直後に、アコーディオンが誕生した。その後、アコーディオンは、ヨーロッパ各地に広がっていくし、コンサルティーナ、バンドネオンなど、様々な楽器も生まれ、20世紀になると、鍵盤ハーモニカという類似楽器も誕生する。ベートーヴェンが生きているうちに、アコーディオンが誕生していたら、ベートーヴェンアコーディオンのためにどんな音楽を作曲しただろう?

 

そうこうしているうちに夜になり、美術展に行く方針を変更し映画を見に行く。韓国映画、「パラサイト 半地下の家族」を見た。富裕層と貧困層という非常にわかりやすいテーマで展開するコメディで楽しく見て油断しているうちに、深みに引きずり込まれていく。しかも、色々なドラマが、驚くべきほどテンポよくあっさりと進んでいくのが、独特。登場人物の背景や文脈も、最小限にしか説明されずに、どんどん進んでいく。その展開を受け入れて最後まで見た。映画で描かれている半地下の家族が、信じられないほど仲が良いのも印象的。そして、無計画と計画についての面白い対比の言葉もあった。ぼく自身、計画しないで即興で行動することが大好きである無計画大好き人間であり、と同時に、計画することが大好きな計画人間でもある。そして、計画を変更することも多々ある変更人間でもある。

 

明日から東京。いよいよ「千住の1010人 in 2020年」に向けての説明会。1010人という多くの人を巻き込んでの催しなので、無計画ではなく、多くの計画をして臨む。と同時に、現場で変更しながら調整できる柔軟さをどのように作れるか、を大切にしたい。

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スペインとブラジル

スペインの作曲家ファリャについてレクチャーをした。鈴木潤さんが、ブラジルの作曲家ヴィラ=ロボスについてレクチャーをした。ぼくと潤さんが、クラシックの作曲家について解説するのは、かなり特異な出来事だと思うのだが、日本センチュリー交響楽団と仕事を始めて以来、こうした特別な出来事が、当たり前のように行われていて、本当に不思議だ。

 

潤さんが全身を使って、リズムの話を語り、楽器を奏でる。それは、レクチャーでありながら、鈴木潤のライブでもあった。ぼくも、ファリャの楽譜をどう読んだかを、楽器を弾いたり、歌ったり、踊ったりしながら、拙く説明した。ファリャの時代には、インターネットもなければ、あまり録音音源を聴く機会も少なかっただろう。そんな時に、スペインの各地の民謡や舞踊に、ひょっとしたら楽譜を通して出会ったものも、あったのかもしれないな、とも思った。

 

チェロの北口大輔さんと、潤さんが、ボサノヴァを演奏し、ぼくも鍵盤ハーモニカやシェイカーでセッションした。そして、3人で即興で演奏した。今日だけのスペシャル企画。

 

その後、メディアピクニックの岩淵拓郎さんと打ち合わせ。潤さんと執筆中の本について。日本センチュリー交響楽団が出すワークショップハンドブックを、オーケストラの部外者のはずだった潤さんと野村が執筆する。打ち合わせをして、なかなか不思議で面白い本になるとワクワクした。変な本にしたい。

 

 

 

 

 

スペイン民謡、ベートーヴェン、曽我大穂

明日のレクチャーで、北口大輔チェロリサイタルの演目であるファリャの「7つのスペイン民謡より」を解説するので、ファリャの楽譜を分析している。それで、本当はスペイン民謡に詳しい人が解説したらいいのだろうなぁ。YouTubeで、いろいろ見せられそうな動画を探してみたりはする。フラメンコやフォークダンスなど、楽しく見る。カスタネットは本当に独特な楽器。明日のレクチャーが楽しみになってくる。

 

相変わらずベートーヴェンを起点に作曲しているが、思えば遠くへ来たものだ。既に、ベートーヴェンは、遥か彼方になっている。今日も6時間ほどは譜面を書いて過ごす。

 

夜は、アバンギルドにライブを聴きに行く。いしいしんじさんの紹介で、「仕立て屋のサーカス団」、「シネマダブモンクス」などで活動する音楽家曽我大穂さんのライブ。ギタリストのコーヘイさんという方のソロ、曽我さんのソロ、そして二人でのセッション。ソロ演奏で、ルーパー(というエフェクター)を使って反復させると、一人なのに、複数のレイヤーをつくることができる。これは便利なのだが、一人で演奏している時に一人の音しかしないと、ソロならではの緊迫感があってよかったりする。曽我さんは、いろいろな楽器を操り、全身が楽器のような人で、時々、床を踏み鳴らしながら演奏していて、断片のように突然途切れたり、壊れたり、進んだり、踊ったりしながら、音楽を育んでいく素敵な音楽家で、一緒に演奏したくなった。終演後、いしいさんに紹介してもらって、いっぱいお話をした。一緒に演奏してみたい。

 

大相撲初場所は3日目。朝乃山も遠藤も全勝。