野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

伝搬と変容/初代高砂浦五郎

岩波講座『日本の音楽・アジアの音楽3 伝搬と変容』読了。古本屋で安価で全9冊まとめて購入したものの、貧乏性で飾っておくだけだともったない、と思い、自宅にいる時には、少しずつ読んでいる。ようやく3巻まで読み終えた。色々な音楽についての論考を読むと触発され、作曲したいアイディアが色々浮かんでくる。

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「伝搬と変容」について読み終えて、地歌箏曲家の竹澤悦子さんとのオンラインリハーサル。ここでも、「伝搬と変容」が起こっていた。9月に竹澤さんがぼくが2020年に作曲した《初代高砂浦五郎その1 高砂浦五郎を賜るの段》から抜粋し、鶴見幸代さん作曲の抜粋と合体させたダイジェストバージョンで演奏されるとのこと。4年前は、歌とナレーションで構成していたが、この4年間で竹澤さんの語り芸が格段にアップしていて、ナレーションの部分も少し台詞にしたらどうか、と竹澤さんから提案があった。これは、4年前では成立しなかったこと。演奏家の成長とともに、楽曲も成長していく。4年前に作曲した曲が、そのまま真空パックで保存されるのではなく、その時の状況に合わせて、アレンジを加えられて、フレッシュな形で再演されて、生きた音楽として成長していくことは、作曲家としては何よりの喜びで、竹澤さんに感謝だ。

 

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