野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

梅田児童館/第154回だじゃれ音楽研究会

東京の足立区にいて、2025年度に実施予定の『千住の1010人』の準備をしている。最終的に1010人で演奏する催しを行うのだが、どんな1010人をどのような方法で集めていくのか。言ってみれば、とにかく人数を集めればいいのであれば、効率よく短期間で広報して集めればいい。出演者に著名人を起用すれば、あっという間に1010人など集まってしまうだろう。でも、そんな風に一瞬で1010人が集まることを、ぼくたちは目指していない。もう少しまだるっこしいやり方、いやかなりまだるっこしい方法で、少しずつ仲間を増やし、少しずつ賛同者を増やし、時間をかけて一歩一歩1010人に近づいていこうとしている。

 

今日は、梅田児童館に行った。音まちスタッフたち、だじゃ研のメンバーも一緒に行った。職場体験の中学生が10人ほどいて、小学生が40人ほどいて、そこで音楽の交流をした。《鍵盤ハーモニカ・イントロダクション》を聴いてもらったが、この子たちと鍵盤ハーモニカの大合奏もしてみたいと思った。だじゃ研の安田さんが昆布の楽器を見せると、子どもたちは興味津々。やりたい人を募ると行列ができて、順番待ち。こんなに昆布を演奏したいんだ、と思った。声も出してみた。《ホウレンソウ連想》をみんなで歌い、さらには《ケロリン唱》をやってみた。こんな絶叫する《ケロリン唱》も初体験で、スイッチが入ると子どものエネルギーは凄い。楽器を配ってのセッションも熱中してくれて、この子たちと1010人でも再会したいと思った。昨夏にやった《オペラ座のかいすぎ》の演奏を覚えている子たちが、リクエストしてくれた。あの日の演奏が1年経っても子どもたちの中に残っていることを嬉しく思う。

 

夜は第154回だじゃれ音楽研究会。今日も新メンバーが参加。登録しているメンバーは100人以上いると思うが、毎回10名以上の人が参加している。だじゃれ音楽研究会のメンバーのインタビューが少しずつ公開されている。これも活動を伝えていく貴重な資料。

aaasenju.wixsite.com

 

「だじゃ研」は本当に不思議なグループだ。共通な目的を持ったグループなのかどうかも不明。世の中には、「ワークショップ・ファシリテーター養成講座」のようなものもあるが、そういうことを意図していないのに、「だじゃ研」から数々のファシリテーターが勝手に育っていて、今日のように児童館に行ったり色々な活動が行われている。だじゃ研に参加すると、楽器が上達するのかどうかは分からないが、即興力や柔軟性は勝手に上達していき、今では世界のどこにもない即興グループとも言える。本番も楽しむが、こうやって日々集まってセッションすること自体を楽しんでいる。メンバーは常に流動的で、来れる人が来るから、いつも違う人が参加している。常連もいるけど、常連だけで固定化もしていかない。こういうグループがどうして形成できたのか、奇跡で、本当に宝だと思っている。22世紀へぼくが残す最大の音楽遺産は、だじゃ研かもしれない、などと本気で思っている。その凄さの一端は石橋鼓太郎の博士論文で分析されているが、あまりにもユニークな事例であり、あまりにもどこにでもありそうな事例であるので、何が凄いのかが言語化され、市民権を得ていくのには、少なくとも10年くらいはかかるのかもしれない。

 

本日は、昆布楽器、カタカタ(梅田児童館が考案した手作り楽器)、貝を使って、Memet Chairul SlametのRock Singを演奏したり、即興セッションしたり、話し合いをしたり、いつものようにクリエイティブな楽しい時間だった。