野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

マセダすごい/相撲とジャワ舞踊の出会い/ガムランアッセンブリー/綱引の練習

ついに、全員揃ってのマセダ《ゴングと竹のための音楽》(1997)のリハーサル。

 

6月に野村誠校訂版のマセダ《ゴングと竹のための音楽》の譜面を完成。8月3日に、龍笛の伊崎善之さん、コントラファゴットの中川日出鷹さんとリハーサル。同じく8月3日に、東京少年少女合唱隊とリハーサル。8月7日にマルガサリガムラン)と中谷満と相愛大学音楽学部打楽器合奏団(竹楽器)とリハーサル。8月24日に龍笛コントラファゴットガムランでリハーサル。そして、本日ついに、全員が一緒になる。

 

実は、この曲は全く違う個性的なスパイスを混ぜて、美味しいカレーをつくれるか?というような仕事。下手をすると、全ての香りが殺し合って、全然美味しくなくなるし、うまい配合になると、どのスパイスも効いてくる。理想は指揮者が何もしなくても、勇気的に絶妙な配合になること。でも、少ないリハーサルでは、いきなりそうならないので、指揮者として、絶妙のバランスをつくるべく、瞬間瞬間で調整していく。すごく大変だったけど、最後の通しで、本当に手応えを得た。こんな美しい音楽だったんだ、と心底感激した。演奏者のみなさんとも、リハーサル後も、その話を何度もした。明日で終わっちゃうのが惜しい。

 

《タリック・タンバン》の合唱が入るシーンを、ガムランと合唱隊で初合わせ。美しすぎて、胸がいっぱいになる。じーん。細かい調整は明日、ホールで。みなさん、ありがとう。

 

午後、ジャワ舞踊の佐久間新さん、相撲の岩本真輝さんとのリハーサル。65kgの佐久間さんが110kgの岩本さんに力一杯相撲でぶつかっていき投げられる。これがサントリーホールのリハーサル室?感動的な場面が次々。ジャワ舞踊と相撲の四股が対置された時に、四股も相撲も綱引も社会も宇宙も、、、、、あらゆることが繋がっていく一つの大きなポエムが立ち上がってくる。これで、《タリック・タンバン》という音楽が、長大な詩として、十五夜の空に浮かび上がってくる。ゾクゾクする。

 

芥川也寸志サントリー作曲賞選考会を少し聴きにいく。いろんな人に再会。作曲家(愛知県立芸術大学)の山本裕之さんと戸島美喜夫さんについて話をする。鶴見幸代さんと衣裳の打ち合わせ。

 

En-gawaにて、ガムランアッセンブリー。三輪眞弘さん、藤枝守さん、小出稚子さん、宮内康乃さん、大井卓也さん、北澤潤さんと野村誠によるトーク。熱く語る。トークは20時を回っても迫熱していたが、途中で抜けさせていただき、大ホールで「だじゃ研」と綱引を使う練習や動きの確認。これが、第141回だじゃれ音楽研究会。それにして、さすがサントリーホール。声やウイスキーボトルの音が、驚くほど美しく響く。明日が楽しみ。