野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

荒井良二さんと「綱(つな)がる」ディープな2日目

不知火美術館の里村さんの企画で、本日も荒井良二さんとのコラボで塔本シスコに触れる。午前中は、シスコさんが100年前に通った豊川小学校に行き、ワークショップ。先週、野村と一緒に作詞/作曲した歌《シスコシスコOh!シスコ》を子どもたちは覚えていて一緒に歌ってくれる。荒井さんの提案で、満月と満月を見ている人or動物or何かの絵を31人の子どもが0.9m✖️40mのシートに描いていく。突然31個の月が出現して、ぼくはピアノをアップテンポで弾いて、音楽で絵に勢いをつけるように後押しする。筆もいいけど、手で直接塗る。ついには、膝で塗る子も出る。すごいいい絵になった。言葉も書いてもらった。このワークショップに、『綱で綱(つな)がる、絵っ!絵ーー!』というタイトルを付けたけど、いろんな世界がそれぞれでありながら、つながってるなぁ。そこが素敵だなぁ。

 

移動して、夕方は戸馳島にある戸馳保育園に行き、荒井さんとの即興ライブ。三角小学校で作ったシスコの歌《110年前にシスコが生まれたよ》を歌って、子どもたちと会話をしたり、荒井さんが(かつて震災の避難所で衝立として使われていた)段ボールに馬の絵を描き、その段ボールが家になったり、絵本になったりして、気がつくと、ぼくは無我夢中でピアノを弾いていて、園児や園長先生や保護者の方も手拍子をしたり踊ったりして、その中で巨大な絵本が描かれていく。最後、アンコール的に子どもたちにもタンバリンやカスタネットを渡してのセッションで、荒井さんも踊って、みんなも踊った。「とばせ保育園」を「とばせ」!と絵本になった言葉が歌や声になって、飛んで行った。即興でも、短い時間でも、瞬時に荒井良二の世界になり、荒井良二の色になる。荒井良二の魔法。そして、荒井さんの絵本もそうなんだけど、荒井さんの世界は完結していなくって、「つながっている」。砂漠も、大都会も、夜空も、草原も、つながっている。『綱で綱(つな)がる、絵っ!絵ーー!』

 

夕食のお寿司を味わいながら、展示プランを話し合ったり、濃厚でワクワクする時間が夜まで続いていく。夜空に月はまだなく、星々が輝いている。