野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

20 New Sounds of the 20th Century/樅山智子を聞く/大相撲

William Duckworth著『20/20: 20 New Sounds of the 20th Century』(Schirmer Books)読了。20世紀に作曲された作品を20曲紹介する音源付きの入門書。1曲目がドビュッシーで20曲目がメレディス・モンク。以前、William Duckworthがアメリ実験音楽の作曲家にインタビューした本が面白かったのと、20曲の中にアラン・ホバネスが選ばれていたので買って読んだ。

 

https://www.amazon.co.jp/gp/product/0028648641/ref=dbs_a_def_rwt_hsch_vapi_taft_p1_i11

 

城崎温泉から大阪に移動する電車の中で、作曲家の樅山智子さんから彼女が構想中の論文についてプレゼンしてもらい、とても実りの多い会話と時間が流れる。理不尽な抑圧や、不当な支配や、戦争や環境破壊や差別や、我々が生きている現代という時代の中にある様々な事象に出会い、樅山智子はそこで言葉にならない声を聞き、それを彼女なりのやり方で受信して、音楽作品として、ぼくたちの耳に届けてくれたりする。ぼくは、彼女のやり方に、とても共感しているし、共感するから、一緒に活動をする仲間であり、時に話を聞いたりする尊敬する友人である。今回も、彼女の話をじっくり聞く機会が持てて良かった。彼女の作曲という行為は、通訳という行為と非常に似ていると思う。彼女が作曲家であると同時に、英語の通訳の仕事もしているが、作曲は通訳であり、通訳は作曲であるかもしれない、と彼女の話を聞いていると思う。それにしても、樅山さんは、風の声を聞いたり、少数民族の声を聞いたり、色々な声や音に耳を傾けているけれども、樅山さんの発するメッセージを聞く人が、もっともっと多くていいと思う。ぼくは、聞く作曲家(=樅山)を聞く人でありたい、と思う。

 

大相撲の大阪場所を鑑賞。樅山さん、鶴見幸代さん、そして、相撲の好きなもう一人の作曲家の堀さん、コントラバスの四戸さんと。熊本に戻る。明日から、荒井良二さんとのコラボ3days!!!