野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

《ちりもつもればチャッコーナ》素晴らしく世界初演/IAMASガムラン部

本日は「世界のしょうない音楽祭」で、《ちりもつもればチャッコーナ》の世界初演だった。今朝のリハーサルでも断然よくなっていたが、本番の演奏が抜群に良かった。本番については、バリガムランの小林江美さんがレポートしてくださっているので、そちらも参照してください。

 

gitakencan.exblog.jp

 

9年前にこのプログラムを始めた当初から、当時の担当者の柿塚拓真さんと「オーケストラって何だろう?」、「オーケストラは本当に必要なのか?」と疑問を投げかけながら、オーケストラについて考えてきた。そして、大阪音大の井口淳子先生が、邦楽、民族音楽古楽など、様々なボールを投げ込んできて、ぼくたちのオーケストラは多様性に満ちたものになっていった。そして、コロナになって、対面で一緒に過ごす時間がより限定的になった時に、「指揮者」、「主席奏者」、「作曲家」、「スコア」、「パート譜」という仕組みは、独裁をするためにあるのではなく、限られた時間で各自の能力を最大限に発揮するために考えられた仕組みなのだ、と肌身で実感するようになった。だから、指揮者や作曲家のエゴを押し付けるような独裁的な音楽をするのではなく、みんなで話し合う時間もない僅かな時間で、どうやったら各自の意見や考えが反映される音楽が作れるのか?どうやったら、各自が当事者として関われる音楽体験が生み出せるのか?そのために、作曲家も指揮者もいるのだ、と実感したし、今日も本当にそう感じた。

 

だから、今、ぼくはオーケストラ曲を作曲したいと思うようになったし、オーケストラを指揮することに抵抗も感じなくなった。自分は支配者なのではなく、自分を表現しながら、みんなが表現できるために存在していると思えるようになった。だから、オーケストラは楽しいし、可能性がある。

 

センチュリー響、大阪音大、市民メンバーの方々、本当に良いメンバーと一緒に演奏できるのが幸せだった。客席から「アンコール」の声がかかり(大槌町の町長さんだったらしい)、30人のオーケストラで即興のアンコールができたのも、ワークショップの積み重ねのおかげ。

 

「世界のしょうない音楽祭」に初参加のエルシステマの子どもたちと、少しだけ交流することができた。

 

みなさま、おつかれさま。観客で来られていた佐久間新さん、イウィンさんご夫妻とお茶をして、色々嬉しい感想を伺って後、大垣に移動。IAMASガムラン部の練習を見学、のつもりが練習に参加。カラウィタン(ジャワの伝統音楽)の演奏に参加するのは、20年ぶりかもしれない。